リーダーInterview

快適な介護空間づくりの
ための感性モデルを構築する

荒川 薫

明治大学 総合数理学部 教授
先端数理科学インスティテュート所員

各グループのリーダー役を務める先生にボク「めいじろう」がインタビューしました。
それぞれのテーマの意義や将来展望をじっくりお聞きしてきましたよ。

介護する、される、をできるだけ快適に

荒川先生が取り組んでいる課題は、とても身近な問題ですね。

これだけ高齢化が進んだ社会ですから、介護をする、される、どちらの立場であったとしても、介護と無縁でいられる人は、少ないでしょうね。

ぼくにも、まさに介護している最中という先輩がいます。

そうですか。その方はやっぱり大変そう?

そうですね、仕事をしながらなので…

介護の負担を軽くして、介護者にとっては疲労感が少なく、介護される側にとっては身体が不自由であっても快適に暮らせる空間が作れれば、社会的にも意義が大きいことですね。

そう思います。

私たちはそのためにモデリングを使って、一人ひとりの人が、本当に満足できる快適さを持った介護空間をつくろうとしています。

一人ひとりにあった快適さ?!そんなことができるんですか

その実現を助けるのが、MIMSの萩原教授が開発されたディープラーニングによる機械学習モデルです。空間が快適かどうかを左右するのは、明るさや湿度、温度、香り、音や風などに加え、部屋のレイアウトや壁の色や質感など、とてもたくさんの要素があるでしょう?

それをすべて快適に調整するのは大変そうですが…

それだけじゃなくて、その部屋の環境を、その人が快適と感じているかどうかを評価する必要もありますね。

ディープラーニングには MIMS の萩原教授が開発した方式が使われている。高い性能を持つオリジナル技術に期待が集まる。

その人が快適かどうかを、コンピュータが判断

それにはどんな方法があるのですか?

1つは表情です。その人の表情をコンピュータが読み取って、快適度や本人も気づいていない疲れを判断する技術があります。そのほかにも体温や脳波、動作、声などさまざまな要素があり、膨大な、まさにビッグデータを、機械学習で関連づけることが、このテーマの大きなポイントになっています。

人工知能が好みの空間を提案してくれるのですね?

その通りです。その人が好むデザインや環境を提案するものになるだろうと期待しています。

デジタルファブリケーションで自分好みを実現

でも、部屋を改装するのは時間もお金もかかりますよね

そこで活用しようと考えているのが、折り紙式3Dプリンタです。部屋の模型をつくれば、インテリア計画も立てやすいですよね。いずれは、その人が本当に欲しい家具や寝具、衣服なども、スマホなどで簡単にデザインでき、その場で作れる時代がくるでしょう。

ぼくにも、自分の好みのものが作れるでしょうか?

デザイナーでもない限り、自分の好みをうまく表現できないのは当然ですね。もっと言えば、自分が本当に好きなデザインが何かわからない人だっているはずです。

確かにそうだと思います

そこで取り組んでいるのが人の好みを計算機で探り当てる方法です。対話型進化計算という手法を使うと、コンピュータと対話を繰り返す中で、自分の好みに合った形が決まってくるんですよ。

それなら、ぼくにもできそうです!

これからのモノづくりは、個人が気持ちいい、楽しいと思うことが大事です。理工学部の先生とも連携して、より充実した研究にしたいと思っています。

「研究の魅力は、世の中にない画期的なものを実現し、それを多くの人に使ってもらうことにあります」と語る荒川教授。

楽しみになってきました。ありがとうございました、先生。

めいじろうチェック!
  • 介護する人、される人、どちらも快適にする研究です
  • 独自の機会学習や折り紙式3Dプリンタの活躍に期待が集まります
  • 一人ひとりの好みや主観を反映した、理想のモノづくりが気軽にできる時代がくるでしょう

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