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『あっかんべェ一休』第11話「暗雲」(その三)(1994年)〈前期展示〉

ダウンロード: →ポスター(2.07MB)  →リーフレット(9.06MB)
主催:明治大学 米沢嘉博記念図書館

監修:飯島孝良(花園大学国際禅学研究所副所長)/横山ひろあき(坂口尚作品保存会午后の風スタッフ)

協力:鈴木賢三/ディディエ・ダヴァン/花園大学国際禅学研究所/坂口尚作品保存会午后の風/マンガ作品保存会MOM


お問い合わせ:明治大学 米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館
       東京都千代田区神田猿楽町1-7-1
       TEL 03-3296-4554

《入場無料》
※2階閲覧室をご利用の場合、学外の方は要登録(一日会員330円〜)
 詳しくはご利用・アクセスをご確認ください。

《坂口尚と一休展》
■会 場: 明治大学 米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館 1階
     〒101-8301 東京都千代田区神田猿楽町1-7-1
     TEL:03-3296-4554
     https://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/
■会 期: 2025年10月25日(土)-2026年2月8日(日)
■開 館: 月・金14:00-20:00、土・日・祝12:00-18:00
■休 館: 火・水・木、11/1(土)、12/25(木)〜1/8(木)、1/17(土)

※特別整理などで休館する場合があります。当館HP、もしくは開館日に電話にてご確認ください。

◆展示概要
 漫画家・アニメーターとして、稀有な才能を発揮した坂口尚(1946-1995)。2025年12月に没後30年を迎えますが、その繊細で詩情豊かな描写と哲学的、深淵なテーマが融合した作品群は、時代や国境、ジャンルの垣根を超えて今も多くの読者を魅了し続けています。近年では国内での復刊が相次ぎ、2023年にはフランスのアングレーム国際漫画祭で『石の花』が「遺産賞」を受賞するなど、海外での評価も高まっています。本展では、絶筆となった『あっかんべェ一休』をひとつの到達点と捉え、「長編三部作」を通じて坂口尚は何を描こうとしたのか、“一休と禅”というテーマが現代の我々に何を伝えるのか、創作ノート等の多数の資料と共に考察します。

「禅と日本マンガ文化」の導き手としての一休―その普遍性

 一休は、混迷極める室町時代に生きた禅僧で、後小松天皇の落とし胤(正統の皇子にならぬ子息)でした。その漢詩文集『狂雲集』『自戒集』では、権威にあぐらをかく禅僧や堕落した既成権力へ猛烈な批判を展開し、晩年には盲目の芸能者・森女とのエロスを高らかに表現するなど、まさに型破りな「風狂」の姿でも知られます。一方、徳川期以降に説話集でとんち坊主としてのイメージが広まってもいきました。戦後日本になると、その批判精神に注目が集まり、戦時日本への反省を求めていた知識人たちが多く論じました。このように、時代の変化に応じて、一休の像は虚と実が入り交じりながら語られ続けました。生真面目、破天荒、批判精神、原点回帰、「民」との接点、尊皇的、などなど、一休の姿は多岐にわたります。その像は掴みがたくもありますが、さまざまに描かれたからこそ、多くのメディアが描きだそうとする問題意識を伝える存在ともなりました。この展覧会では、坂口尚の諸作品を読み解きつつ、坂口が見つめた世界とその諸問題は何だったのか、そして一休の姿に何を託して描いたのか、その一端を感じて頂ければ幸いです。

(監修・飯島孝良)

◆坂口尚(さかぐち・ひさし)プロフィール

1946年生まれ、東京都荒川区出身。高校在学中に虫プロダクションに入社。『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』等で動画・原画・演出を担当。1969年に「COM」で漫画家としてデビューし、以後多くの短編作品を執筆。代表作として、短編シリーズ作品『12色物語』、長編三部作『石の花』『VERSION』『あっかんべェ一休』。生涯にわたってアニメーターとしても活躍し、24時間テレビのスペシャルアニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』『フウムーン』では作画監督、設定デザイン、演出など中心的な役割を担う。1995年、49歳の若さで急逝。1996年「第25回日本漫画家協会賞」で『あっかんべェ一休』が「優秀賞」受賞。2023年「第50回アングレーム国際漫画祭」で『石の花』が「遺産賞」受賞。
◆展示構成(展示替情報)

『石の花』 第1話「春のあらし」(1983年)〈前期展示〉
10月25日(土)― 12月7日(日)

【前期】“軌跡”としての「長編三部作」


 坂口尚は、1969 年に「COM」で漫画家としてデビュー。初期の作風は実験性に溢れ、その先鋭的で流麗な描線は鮮烈な印象を残した。「COM」の休刊以降は寡作となるが、1980 年前後にマンガ界で湧き上がった「ニューウェーブ」の潮流において再び存在感を高め、リリカルな短編作品を多数発表。1983 年、初の長編作品『石の花』を連載開始。続いて『VERSION』『あっかんべェ一休』を執筆し、自ら「長編三部作」と称した。三部作にわたって「戦争と平和」「理想と現実の境界」「自我の所在」といったテーマを重層的に描き、表現におけるリアリズムと哲学性を次第に深めながら、ひとつの到達点として『あっかんべェ一休』の世界がある。本展前期の展示では、その軌跡を各作品のプロットや執筆時の資料と共に考察する。



『あっかんべェ一休』講談社KCデラックス1巻カバー(1993年)、同2巻カバー(1994年)、
同3巻カバー(1995年)、同4巻カバー(1996年)〈後期展示〉
12月13日(土)― 2026年2月8日(日)

【後期】一休と禅から見出されるもの


 後期の展示では『あっかんべェ一休』への考察を深める。坂口尚はさまざまなジャンル・モチーフを自在に描いたが、作品の根底には常に“儚さ”や“不完全な存在”への深い畏敬があり、一方で権威的なものへの徹底的な批判精神が貫かれている。「人間とは何か」という根源的な問いを思索し続けた坂口が、一休の生き方と禅の精神にどのような考え方を見い出し、自ら禅を学び、作品へと昇華させていったのか。それを読み解く試みとして、『あっかんべェ一休』の原画だけでなく、坂口が残した創作ノートや膨大な資料の一部も併せて展示する。また、一休の生涯、中国から日本に到る禅宗史、日本の表象メディアにおける禅の影響と変遷についても解説を加え、“一休と禅”が現代の我々に何を伝えるのか、坂口尚の作品世界と禅の精神のふたつを重ね明らかにしていく。


「一休宗純頂相」 酬恩庵一休寺蔵 〈後期展示〉 ※複製

一休宗純 ( いっきゅうそうじゅん )
1394〜1481


 応永元年、南北朝を統一した第百代天皇・後小松天皇の子として生まれる。はじめ法名を周建といい、のち宗純と改める。21 歳のとき、当時の師・謙翁と死別した絶望から瀬田川で入水自殺を図るも、母の使いの者に止められたという。その後は華叟宗曇の門下に入り、25 歳のときにその境地を認められて「一休」の道号を授けられる。法要にあえてボロ着で参列するなど風狂で知られた一方、大徳寺の僧が獄につながれたことに憤ってハンガーストライキを行うなどした。主流派の堕落を猛烈に批判する『自戒集』を著し、最晩年に出逢った森女が生涯の伴侶となった。81 歳で大徳寺の住持となり、応仁の乱で焼失した再建に着手し、88 歳で亡くなる。『狂雲集』など、遺した漢詩文は千数百首に及ぶ。
◆展示品例

『石の花』 第1話「春のあらし」(1983年)〈前期展示〉

『石の花』 第23話「抵抗」(1986年)〈前期展示〉

『VERSION』 「VERSION.1」(1989年)〈前期展示〉

『VERSION』 「VERSION.5」(1991年)〈前期展示〉

『あっかんべェ一休』 連載第1回巻頭カラー「坂口尚を読もう」(1993年)〈前期展示〉

『あっかんべェ一休』 第4話「破れ寺 西金寺」(1993年)〈前期展示〉

『あっかんべェ一休』 第21話「風塵」(1995年) 〈前期展示〉

『あっかんべェ一休』 第25話「狂雲(その三)―やまびこ―」(1995年)〈後期展示〉

『あっかんべェ一休』 第26話「骸骨」(1995年)〈後期展示〉
◆展示品

・『石の花』『VERSION』『あっかんべェ一休』の原画、下絵、ネーム、スケッチ 
・坂口尚が一休宗純・禅・室町時代について調べた資料ファイル、坂口が所蔵した一休関連書籍(多数の書き込みあり) ほか
・モニター上映:
  〈前期〉坂口尚インタビュー映像
  〈後期〉ビジュアルガイドビデオ「酬恩庵一休寺とその宝物」

※2階閲覧室で、坂口尚の著作や関連資料を読むことができます。
◆イベント
フォーラム《坂口尚からみる禅と日本マンガ文化》
日時:12月6日(土) 15:00-18:00
場所:明治大学 駿河台キャンパス
登壇者:飯島孝良(花園大学国際禅学研究所副所長)
    ディディエ・ダヴァン(国文学研究資料館教授)
    浦沢直樹(マンガ家)
    鈴木賢三(日仏翻訳家・出版ライセンスコーディネーター)
    横山ひろあき(坂口尚作品保存会午后の風スタッフ)
司会進行:宮本大人(明治大学国際日本学部教授)

「禅文化史からみた『あっかんべェ一休』:語られ続ける一休像の系譜とその特徴」 
飯島孝良(花園大学国際禅学研究所副所長)

「禅思想史からみた『あっかんべェ一休』:作中に取りあげられた公案にある禅を読み解く」
ディディエ・ダヴァン(国文学研究資料館教授)

「坂口尚という「衝撃」:その出逢いと普遍性」
対談:浦沢直樹( マンガ家)×宮本大人(明治大学国際日本学部教授)

テーブルトーク「坂口尚と一休を通して現代世界をみつめ直す」
飯島孝良/ディディエ・ダヴァン/鈴木賢三/横山ひろあき/司会:宮本大人

[入場料]1,100円 ※キャンセル・返金不可
[申込締切]12 月5日(金)10:00
リバティアカデミー特別講座一覧ページよりお申し込みください。
URL:https://academy.meiji.jp/course/detail/7635
ギャラリートーク
会期中に開催予定です。
詳細は当館Xやこちらのページで順次更新いたします。
駿河台キャンパス 〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1(代)03-3296-4545
和泉キャンパス 〒168-8555 東京都杉並区永福1-9-1(代)03-5300-1121
生田キャンパス 〒214-8571 神奈川県川崎市多摩区東三田1-1-1(代)TEL 044-934-7171
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