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「変貌する地域紛争と国際刑事法」研究プロジェクト

プロジェクトの趣旨および進行予定

冷戦後の世界構造の転換の中で地域紛争のあり方も多様化している。冷戦期の紛争の特徴は複数の対立要因がイデオロギー対立に収斂し、東西陣営の代理戦争の形をとっていたのに対して、昨今の紛争はローカルな要因から直接的に引き起こされ、ローカルな対立に終始するかのように映ることである。故に、紛争は益々文化的対決の様相を帯びてゆき、所与の文化的コンテクストの理解なしには解決すら模索できないことになっている。一方、冷戦崩壊は一元的な「国際社会」の演出を可能にし、そこから正義を排他的に独占する国際機関が紛争の調停者として登場する傾向も生まれている。その代表例が国際刑事裁判所(ICC)設立の動きであろう。ICCの設立は、超越的な立場からの戦争犯罪の処罰を可能とし、それを以て紛争の抑止効果を期待できるものであるが、他方で、ローカルな文化的コンテクストを内包する多様な地域紛争を一元的な基準で裁断しうるのかという疑問も残している。  本プロジェクトは、歴史研究、紛争人類学等の手法によって様々な地域紛争の文化的コンテクストを分析しつつ、それらを中立的な基準によっていかに対処してゆくべきあるかを総合的に研究し、国際刑事法の整備と紛争後の和解のモデルを構築することを目標とする。

主要メンバー

<学内研究員>
間宮勇(法学部教授・国際法)
笹川紀勝(法学部教授・憲法)
佐原徹哉(政治経済学部助教授・歴史学)
水田周平(法学部専任講師・国際法)

<学外研究員>
前田朗(東京造形大学教授・国際刑法)
福田朗(鹿児島大学教授・国際法)

具体的な研究項目

2005年度研究会
6月18日、第1回研究会「ユーゴ内戦とICTY」(於:明大商学研究所)

<報告>
前田朗(東京造形大学)「ICTYにおける人道に対する罪」
鈴木健太(東京大学大学院)「戦時下のセルビア反戦運動」