研究・知財戦略機構 学内フォーマット集
行政刷新会議「事業仕分け」科学研究費補助金,産学官連携に対する意見書の提出について
2009年12月22日
明治大学
平成22年度予算編成に関わる行政刷新会議ワーキンググループによる事業仕分けにおいて,研究・知財戦略機構に係わる事項につき,2009年12月14日付で,内閣総理大臣,文部科学大臣等宛に下記の意見書を提出しました。
科学研究費補助金及び産学官連携に関わる予算の確保に関する意見書
明治大学
副学長(研究担当) 坂本 恒夫
研究企画推進本部長 井戸田 総一郎
社会連携促進知財本部長 長嶋 比呂志
平成22年度予算編成に関わる行政刷新会議ワーキンググループによる事業仕分けにおいて、文部科学省の学術研究振興及び産学官連携に関わる予算要求に対して廃止又は縮減、整理・一本化の方向性が提案されています。私たちはこうした判断は不適切であり、特に予算の廃止・縮減は、日本の学術研究の発展及びそれら活動から生じる研究成果を民間企業等へ移転し、経済の活性化を目指す活動にブレーキがかかることにつながると大変憂慮しております。特に、来年度の下記事業に関する予算が十分に確保されるよう要望いたします。
1)事業番号3-20(2), 3-21(2) 科学研究費補助金に関する予算
2)事業番号3-23(2) 産学官連携戦略展開事業に関する予算
1)科学研究費補助金に関する予算
科学研究費補助金に関わる予算の縮減は、鳩山総理大臣が所信表明で述べた「先端分野における研究開発を促進し、科学技術の力で世界をリードする」という方針に反していることは明白です。科学研究費補助金など、どの研究者でも応募が可能なボトムアップ型の研究予算の縮減は、研究者の独創的かつ意外性のある研究を抑制することにつながります。
行政刷新会議ワーキンググループが提案する競争的資金の「整理・一本化」も理解できますが、予算の「整理・一本化」は、研究予算獲得に対して競争原理が過度に働き、一部の有力な研究者に研究費が集中することが予想されます。また、科学研究費補助金のうち、若手研究者向けの予算が削減されますと、若手研究者の自由な発想に基づく、独創的な研究活動が醸成される土壌が失われることが懸念されます。いわゆる政策的研究では、国益、社会・国際貢献、環境保全などの、最大公約数的意義を心得た研究提案に資金が集中する傾向がありますが、一方で我が国の将来を支える若手ならではの独創的研究の土壌も堅持されなければなりません。
よって、これまで以上の科学研究費補助金の確保及び対象領域の維持・拡大を要望します。
2)産学官連携戦略展開事業に関する予算
この10年間、政府は大学の研究成果の社会還元を強く打ち出し、産学官連携をコーディネートする専門人材(産学官連携コーディネーター)が大学に配置され、弱体化した技術力・産業力の挽回を図ってきました。当大学においても、コーディネーターが配置され、新しい医療材料・技術、新しい農・園芸技術、新しい食品加工技術等の実用化に向け産業界との連携を支援して参りました。現在では、その活動が浸透し、産学官連携を教育・研究に並ぶ、大学の使命のもう一本の柱として位置づけて活動しているところです。
大学の基礎研究から生まれた知財を企業等へつなぐ仕組みは、一日にして出来上がるものではありません。また、産学官連携の成果はすぐに現れるものではなく、10年以上かかると言われております。このような時期に「産学官連携戦略展開事業」が廃止されれば、大学の研究成果の社会還元にブレーキがかかり、我が国の産業活性化の機会が縮小されます。
産学連携を通じた産業活性化の結実に向けて、今後とも、このような政府の支援が欠かせないことをご理解いただきたいと考えております。
以 上
科学研究費補助金及び産学官連携に関わる予算の確保に関する意見書
明治大学
副学長(研究担当) 坂本 恒夫
研究企画推進本部長 井戸田 総一郎
社会連携促進知財本部長 長嶋 比呂志
平成22年度予算編成に関わる行政刷新会議ワーキンググループによる事業仕分けにおいて、文部科学省の学術研究振興及び産学官連携に関わる予算要求に対して廃止又は縮減、整理・一本化の方向性が提案されています。私たちはこうした判断は不適切であり、特に予算の廃止・縮減は、日本の学術研究の発展及びそれら活動から生じる研究成果を民間企業等へ移転し、経済の活性化を目指す活動にブレーキがかかることにつながると大変憂慮しております。特に、来年度の下記事業に関する予算が十分に確保されるよう要望いたします。
1)事業番号3-20(2), 3-21(2) 科学研究費補助金に関する予算
2)事業番号3-23(2) 産学官連携戦略展開事業に関する予算
1)科学研究費補助金に関する予算
科学研究費補助金に関わる予算の縮減は、鳩山総理大臣が所信表明で述べた「先端分野における研究開発を促進し、科学技術の力で世界をリードする」という方針に反していることは明白です。科学研究費補助金など、どの研究者でも応募が可能なボトムアップ型の研究予算の縮減は、研究者の独創的かつ意外性のある研究を抑制することにつながります。
行政刷新会議ワーキンググループが提案する競争的資金の「整理・一本化」も理解できますが、予算の「整理・一本化」は、研究予算獲得に対して競争原理が過度に働き、一部の有力な研究者に研究費が集中することが予想されます。また、科学研究費補助金のうち、若手研究者向けの予算が削減されますと、若手研究者の自由な発想に基づく、独創的な研究活動が醸成される土壌が失われることが懸念されます。いわゆる政策的研究では、国益、社会・国際貢献、環境保全などの、最大公約数的意義を心得た研究提案に資金が集中する傾向がありますが、一方で我が国の将来を支える若手ならではの独創的研究の土壌も堅持されなければなりません。
よって、これまで以上の科学研究費補助金の確保及び対象領域の維持・拡大を要望します。
2)産学官連携戦略展開事業に関する予算
この10年間、政府は大学の研究成果の社会還元を強く打ち出し、産学官連携をコーディネートする専門人材(産学官連携コーディネーター)が大学に配置され、弱体化した技術力・産業力の挽回を図ってきました。当大学においても、コーディネーターが配置され、新しい医療材料・技術、新しい農・園芸技術、新しい食品加工技術等の実用化に向け産業界との連携を支援して参りました。現在では、その活動が浸透し、産学官連携を教育・研究に並ぶ、大学の使命のもう一本の柱として位置づけて活動しているところです。
大学の基礎研究から生まれた知財を企業等へつなぐ仕組みは、一日にして出来上がるものではありません。また、産学官連携の成果はすぐに現れるものではなく、10年以上かかると言われております。このような時期に「産学官連携戦略展開事業」が廃止されれば、大学の研究成果の社会還元にブレーキがかかり、我が国の産業活性化の機会が縮小されます。
産学連携を通じた産業活性化の結実に向けて、今後とも、このような政府の支援が欠かせないことをご理解いただきたいと考えております。
以 上