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研究・知財戦略機構

明治大学×日本IDDMネットワーク 研究助成金の贈呈式を開催しました

2016年11月30日
明治大学 研究・知財戦略機構

 明治大学は、1型糖尿病の患者を支援する認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク(佐賀県佐賀市)から、同法人が支援する「バイオ人工膵島移植プロジェクト」に基づき研究助成金1,500万円を賜ることとなり、11月30日、贈呈式を行ないました。
 明治大学駿河台キャンパスリバティタワー岸本辰雄ホールで行われた贈呈式では、日本IDDMネットワークからは井上龍夫理事長が、明治大学からは小川知之副学長(研究担当)兼研究・知財戦略副機構長、長嶋比呂志農学部教授兼バイオリソース研究国際インスティテュート所長及び笠松浩義研究推進部長が列席し、関係者とマスメディアが見守る中、井上理事長から小川副学長に対して、研究助成目録の贈呈が行われました。

 なお、同研究助成金は、佐賀県庁へ日本IDDMネットワークを指定の上、寄付頂いた「ふるさと納税」を財源としております。井上理事長によりますと、今後の研究の推進のため、さらに500万円の寄付が集まり次第、明治大学に助成頂けるとのことです。

助成経緯
 1型糖尿病は、インスリンを産生するβ細胞が免疫細胞によって攻撃・破壊されることで発症します。1型糖尿病の治療方法として、膵臓移植や膵島移植は有効ですが、その普及は臓器提供者の不足によって妨げられております。近年、1型糖尿病の新たな治療方法として、バイオ人工膵島の移植が注目されております。その一つとして、ヒト移植用に無菌に近い状態で飼育されたブタの膵島細胞をカプセルに閉じ込め、患者の体内に移植する治療法がございます。1型糖尿病を根治させるための新たな選択肢であるため、日本IDDMネットワークは、同治療法の実現を目指す「バイオ人工膵島移植プロジェクト」(図1)の研究開発を支援しております。
 一方で、明治大学では、長嶋教授が、ブタを用いた再生医療研究を専門としており、ブタの人工生殖技術の研究実績があります。
 これらの背景のもと、明治大学は「バイオ人工膵島移植プロジェクト」の趣旨に賛同し、長嶋教授が中心となり、国内の研究用ブタ生産者とともに同プロジェクトに係る研究を推進するため、日本IDDMネットワークから研究助成金の贈呈を受けるに至りました。

助成対象となる研究

 長嶋教授は、贈呈を受けました研究助成金に基づき、「医療用ブタの作製に必須となるオペ室や無菌飼育室の設備整備に関する研究」を実施いたします。ブタ膵島を糖尿病患者への移植に用いる異種膵島移植療法の臨床応用実現には、医療に使用し得る衛生レベルのブタ(医療グレードブタ)が不可欠です。膵島移植に用いるブタの衛生レベルは、指定病原体フリー(Designated pathogen-free: DPF)であることが求められており、そのためには特殊な生産設備や飼育環境が必要であるものの、日本では未だ実現できておりません。本研究では、これらの設備・環境の構築を目指します(図2)。

贈呈にあたりご挨拶される井上理事長贈呈にあたりご挨拶される井上理事長

井上理事長(右)から目録の贈呈を受ける小川副学長井上理事長(右)から目録の贈呈を受ける小川副学長

謝辞を述べる小川副学長謝辞を述べる小川副学長

(左から)目録を囲んで記念撮影に臨む笠松研究推進部長、小川副学長、井上理事長、長嶋教授(左から)目録を囲んで記念撮影に臨む笠松研究推進部長、小川副学長、井上理事長、長嶋教授

贈呈後の記者会見にて研究に関する質疑に回答する長嶋教授(中央左)贈呈後の記者会見にて研究に関する質疑に回答する長嶋教授(中央左)

図1 1型糖尿病根治に向けた「バイオ人工膵島移植プロジェクト」(日本IDDMネットワークの資料に基づき作成)図1 1型糖尿病根治に向けた「バイオ人工膵島移植プロジェクト」(日本IDDMネットワークの資料に基づき作成)

図2 バイオ人工膵島の完成までの流れ(医療用ブタを作製するためのオペ室と無菌飼育室の整備が、助成研究対象)図2 バイオ人工膵島の完成までの流れ(医療用ブタを作製するためのオペ室と無菌飼育室の整備が、助成研究対象)

お問い合わせ先

<研究内容に関するお問い合わせ>
 明治大学 生田研究知財事務室
 TEL:044-934-7639
 E-mail:tlo-ikuta@mics.meiji.ac.jp

<取材に関するお問い合わせ>
 明治大学 広報課
 TEL: 03-3296-4330
 E-mail:koho@mics.meiji.ac.jp