Go Forward

学生相談室

「相談室の窓から」~若者の特権です—何度も失敗しなさい—~

2013年06月20日
明治大学

—若者の特権です—何度も失敗しなさい—
                                         学生相談室 相談員
                                          農学部 准教授 石月義訓

いわゆる「5月病」は、とくに医学用語の定義ではありませんが、例えば地方から上京してきた新入生などが陥りやすい「病い」のようです。住み慣れない大都会での初めての単身生活、見知らぬ仲間たちとの大教室での授業に頑張りすぎてしまって、知らないうちに心身の疲労がたまってしまうようです。それだけでなく、最近はグローバルな競争社会が日常生活の隅々まで浸透しているので、精神的ストレスや閉塞感を感じる原因はいつでも、どこでも存在します。

そのうえ、人間は元来、弱く未熟な動物です。弱い人間だからこそ悩むのです。悩みの種を持っていない人間なんていません。一人で悩み始めると、ややもすると同道巡りをしたり、解決の出口のない大きな壁にぶつかったりしてしまいます。そんな時には、周りの誰かに話を聞いてもらい(自分を相対化してみる)、自己の悩みのなかにある理想と現実の隔たりを客観的に分析してみることをおすすめします。

最近、学生の皆さんに対しては、「何度も失敗しなさい」とよく言っています。私のように年齢を重ねれば人生上の失敗はできるだけ避けねばなりませんが、若者の失敗は社会的許容の範囲内です。いわば若者の特権のようなものです。しかし、最近の若い世代は(こうした表現は使いたくありませんが)、失敗することを怖れたり、失敗をできるだけしない生き方に固執しまっているのではないか。私の人生経験からも、青年時代の失敗した経験や反省したことがその後の人生のなかで無形の糧となって返ってくるものではなかったのかなと今更ながら考えてしまいます。「あの時、こうすればよかった」「あの時の判断は間違っていたのかな」という失敗した経験や反省材料ばかりが記憶に残っているのは、それが現在や今後の生き方に何らかの教訓を与えてくれているように思えるのです。

現代社会は、そのしくみや人間関係が複雑に絡み合っているために、一人で悩み抜いても解決不能な事象が多々あります。そんな悩みに直面したら遠慮なく学生相談室を訪ねてみてください。学生の悩みの内容に対応できる専門的なスタッフが配置されていますので、
きっと解決の糸口が見つかるはずです。

目に青葉が直接感じる季節になりました。こうした季節をどうも満喫できないなと少しでも感じた諸君がいたらいつでも、どこでもよろず相談を承ります。