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学生相談室

「相談室の窓から」~大学は知識を獲得するところ?~

2014年06月20日
明治大学

『大学は知識を獲得するところ?』
                                          学生相談室 相談員
理工学部 教授  今野 宏


  最近の10数年間でインターネットが生活の隅々にまで入り込み,世界中の情報が誰にでも簡単に手に入るようになりました。近年,世界のいろいろな大学の講義がインターネットで聴講できるようになってきています。このようなことは今後ますます盛んになり,大学に通わなくても,質の高い情報や知識を得られるようになっていくと思われます。

  では,大学に通って学ぶことにどのような意味があるのでしょう。これにはさまざまな答えがあると思いますが,以下もひとつの答えでしょう。大学は,知識・情報を獲得する場であることはもちろんですが,それ以上に,知識や情報を生み出したり,また生み出す方法を習得する場であるのです。3年生あるいは4年生で研究室に配属されて研究を直に体感することは,講義を聴いているだけでは決してできることではありません。知識というものが,はじめから存在するものではなく,人間が試行錯誤を重ねて獲得してきたものだ,ということを目の当たりにすることは,知識,情報が強力であると同時に危ういものであるということを再認識させてくれます。

 また,研究というものは,困難の連続です。困難にぶつかったとき,自分でじっくり考えることがまず大切ですが,ゼミの教員,先輩や同級生と意見交換をすることも重要です。けれども,解決の糸口は,研究室での何気ない会話をしている瞬間に見つけられることもしばしばあります。このように,いろいろな能力や考え方をもった人が集まり,しかもその人たちの間には共通の興味や目的があり,その目的に向かって活動している。その結果として,1足す1が2よりも大きな力になる,大学はそのような場所だと思います。

  けれども,さまざまな人が集まると,自分の思うようにならないこともしばしば起こります。また小さな誤解が重なって問題が生じることもあるでしょう。これも,さまざまな人が集まり活動している以上,どうしても避けられないことです。もちろん,当事者どうしが直接話し合って解決できればよいのですが,第三者と話して冷静になって考え直してみることも必要かもしれません。そのようなとき,気軽に学生相談室においでください。解決のヒントが見つかるかもしれません。