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学生相談室

「相談室の窓から」~からだと心に良いはなし~

2014年07月10日
明治大学

『からだと心に良いはなし』
                            学生相談室 相談員
政治経済学部 教授  海野素央

 
2008年と2012年にアメリカで大統領選挙が実施されたとき、首都ワシントンに隣接するバージニア州にあるオバマ選挙対策事務所に、研究の一環として入りました。コネは全くありませんでした。オバマ選対での主たる活動には、戸別訪問、電話による支持要請、有権者登録及びボランティアの勧誘があります。戸別訪問では有権者の家を訪問し、フェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションをとります。

 オバマ陣営では、若者を対象にしたインターンを募集していました。募集要項を見ますと、「初対面の人とフェイス・トゥ・フェイスで会話をすることができますか」と学生に質問をしていました。それが同陣営のインターンシップ(就業体験)の条件でした。学生の皆さんは、初対面の人とフェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションをとる自信がありますか。しかも相手は、文化的背景の異なる白人、アフリカ系並びにヒスパニック系(中南米系)です。

 帰国後、政治経済学部の1・2年生を対象に「学生像に関する意識調査」を実施しました。この調査で得た学生の声を紹介しましょう。「今の学生が抱える弱さ」に関して、次のような回答をしています。
・「今の多くの学生は、小さいコミュニティの中で生きている。携帯電話が普及し、SNSに頼って生きている。それでは自分の知っているわずかな世界でしか暮らすことができない」
・「ツイッターやフェイスブックなどのSNSの発達により、人と面と向かって話す機会が減った。対人関係の失敗を恐れる傾向が強いので、内向的な人が増えている」
・「インターネットの発達により離れた場所にいる人とも連絡がとれるようになり、ネット上でのコミュニケーションが増えた。友人と一緒にいるとき、沈黙に陥らないように必死で会話をつなげようとしなくても、携帯型端末の画面に顔を向けていれば、時間をやり過ごせる」

 スマートフォンの画面と向き合っている皆さんの姿が容易に想像できます。速くて便利なSNSは、必ずしも心や体にプラスに働いていないことが窺われます。では、どのようにすればSNSの呪縛が解けるのでしょうか。

 一言で言えば、異文化に飛び込んでみることです。和泉校舎やリバティタワーの教室から出て、日本語が通用しない世界に自分を置き、異なった価値観や考え方に対応する能力を向上させるのです。

 画面ではなく、「顔」に強い人間になってみませんか。