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学生相談室

「相談室の窓から」~目標はありますか?~

2015年06月20日
明治大学

『目標はありますか?』
                            学生相談室 相談員
理工学部 准教授 金本 理奈

 あなたには目標がありますか?
 目標があり、それに向けて努力している、それを特に苦しいとも感じず、毎日充実している、と即答できる人はとても幸せだと思います。ぜひそのまま邁進してください。
 新年度は目標の達成度が良くも悪くもわかりやすい出来事が多くあります。今年度もこれまでの目標が達成されて夢が現実となった人、惜しくも達成できなかった人、様々だと思います。しかし達成された人の中にも、案外今の時期、拍子抜けしていたり、戸惑ったりしている人もいるのではないでしょうか。例えば、受験勉強を頑張って第一希望の大学に入学できた。しかし大学の講義は予備校のようにわかりやすくなく、勉強もいまいち面白くなく、無気力になりかけている・・。一方、第一希望には手が届かず、滑り止めで受けた大学に入学したが、どうしてもやる気が出ず、かつての第一希望を再び目標に仮面浪人を決意する、といったお話は学生相談室でも毎年耳にします。あるいは在学中に“良い就職”をすることを目標に努力し、実際に誰もが知っている有名企業に就職したはずなのに、入社後「こんなことがしたかったのではない」と1年ほどで辞めてしまう事例が近年増加しているそうです。
 せっかく頑張ってきたのに、このような気持ちになってしまう原因は何でしょう?もしかすると目指していることを達成した後のことに想像を巡らせていなかったからではないでしょうか。もし何らかの目標が達成できたらそれで終わりということならば、それは“目標を達成するというゲームで勝つ”という目標にすぎません。実際にはどのような夢や目標であっても、もう少し長い目で見れば単なる通過点に過ぎないはずです。その“チェックポイント”を通過した後に何をしたいのか、そのとき自分は何ができるのか?楽しい?幸せ?毎日どんな気持ちでどんな生活をしている?と未来の自分に尋ねてみることが必要ではないかと思います。そして未来の自分に問い正してみると、意外にもそのポイントを必ずしも通過しなくてもいいことに気づくかもしれません。
 そんな先のことまでわからない、そもそもやりたいことも目標も特にない、と感じてしまうかもしれませんが、むしろ先のことはわからないことが自然だと思うのです。もし何も目標がない、やりたいことが見つからないという場合は、自分が納得いくように毎日を過ごしてみることを目標にしてみませんか。