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第5回「大岡信賞」に荒川洋治氏(明治大学・朝日新聞共催)

2024年03月08日
明治大学 広報課

あいさつする荒川氏(写真=すべて朝日新聞社)あいさつする荒川氏(写真=すべて朝日新聞社)

 大六野学長によるビデオメッセージ 大六野学長によるビデオメッセージ

選考委員らとの記念撮影の様子選考委員らとの記念撮影の様子

明治大学と朝日新聞社が共催する「大岡信賞」の第5回授賞式が3月7日、朝日新聞東京本社で開催され、受賞者の荒川洋治氏(現代詩作家)に賞状と賞牌が贈られました。

同賞は多様な芸術領域に大きな足跡を残し、戦後日本を代表する詩人の大岡信氏(元法学部教授)をたたえて2019年度に設けられました。今回の授賞は、荒川氏の詩集『真珠』における濃密な強いことば、社会と歴史と現在を文学で独自につなぐ試みが評価されたため。

ビデオメッセージで祝辞を寄せた大六野耕作学長は「『生き難(にく)さ』を感じる時代の中で、一人の人間としてどうあるべきか。日々考えさられている」とあいさつし、荒川氏の詩集『真珠』から「すべてのことを 忘れる人はいないのだ」という一節を紹介。「時の流れと共に記憶が風化したとしても、すべてのことを忘れる人はいない。人生の中で経験した『生き難さ』は、必ずや次の時代を切り拓(ひら)くさまざまな知恵につながっていくのではないか。荒川氏の詩には、忘れ去られることのない、受け継がれていく言葉の重みを感じた」と語りました。

受賞者スピーチで荒川氏は、今の社会では「ことばが伝わりすぎている」と指摘したうえで、「多少わかりづらいことばを書かざるを得ない。あわいにあるもの、見え隠れするものを拾い上げるためには、詩のことばは非常に有効であると思う」と語りました。さらに、「どんなにつらいことや悲しいことや暗いことをこちらが書いたとしても、受け止める人が何かいい感じでそれを受け取ってくれる、そういう詩を書きたい」とさらなる創作活動への決意を語りました。

なお、本賞の選考委員に理工学部の管啓次郎教授が第1回から参加しています。

大岡信賞

1965年から87年まで明治大学法学部助教授・教授として教壇に立ち、朝日新聞にコラム「折々のうた」を1979年から2007年まで連載した、戦後日本を代表する詩人の大岡信さんをたたえ、時代や社会を貫く力をもった広い意味の「うた」を生み出すことで、新たな芸術表現を開拓した個人または団体に贈られる賞。

過去の受賞者

【2019年度第1回】佐々木幹郎氏(詩人)、巻上公一氏(ミュージシャン)
【2020年度第2回】岬多可子氏(詩人)
【2021年度第3回】小島ゆかり氏(歌人)
【2022年度第4回】野村喜和夫氏(詩人)