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第1回「大岡信賞」に佐々木氏、巻上氏

受賞者2名(前列左から巻上氏、佐々木氏)と津軽三味線奏者の高橋氏、選考委員ら

明治大学が朝日新聞社と共催で創設した「大岡信賞」の贈呈式が3月7日、駿河台キャンパス・アカデミーホールで開催された。多様な芸術領域に大きな足跡を残した詩人の大岡信氏をたたえて新たに設けられたもので、第1回となる2019年度の受賞者は、詩人の佐々木幹郎氏とミュージシャンの巻上公一氏の2人。

佐々木氏は、東日本大震災後の社会を見つめる詩集「鏡の上を走りながら」の出版、オペラ「紫苑物語」の台本制作、さらに近年の充実した批評活動などが受賞理由となった。バンド「ヒカシュー」のリーダー兼ボーカリストの巻上氏は、40年にわたって発表してきた楽曲の歌詞をまとめた詩集「至高の妄想」の出版など、言葉の力や広がりを伝え続けてきたことが受賞理由となった。

式の冒頭、主催者あいさつとして土屋恵一郎学長と朝日新聞社の渡辺雅隆代表取締役社長が登壇した。土屋学長は、大岡氏が約30年間、明治大学法学部教授として教壇に立っていたことを紹介した上で、「詩の歴史の未来を支えていくことに、これからも明治大学として参加していきたい」と新たな賞への期待を示した。渡辺社長は、大岡氏が朝日新聞で28年間にわたって「折々のうた」を連載していたことを紹介し、「時代や社会を貫く力を持った広い意味での『歌』を顕彰するもの」と賞の創設理由や、創設にかける思いを述べた。

記念品の授与に続いて、受賞者両氏によるスピーチとパフォーマンスが行われた。佐々木氏は、津軽三味線奏者の二代目高橋竹山氏の演奏に合わせて自作を朗読。巻上氏は、ヒカシューのメンバーとライブ演奏を披露した。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、贈呈式は関係者のみで開かれ、朝日新聞のYouTubeページから受賞者らによる演奏を含めた式の様子の中継が行われた。

大岡 信(おおおか・まこと)1931~2017
戦後日本を代表する詩人、評論家。1953年東京大学文学部卒。読売新聞社外報部記者を経て、1965年から1987年まで明治大学法学部助教授・教授として教壇に立つ。1979年から朝日新聞に連載した「折々のうた」で菊池寛賞を受賞。95年恩賜賞、日本芸術院賞受賞。97年朝日賞、文化功労者。2003年文化勲章受章。詩集『春 少女に』『ことばの力』『正岡子規—五つの入口』など著書多数。