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第12回 (2006.1.16) |
岡部 光利 さん (日本貿易振興機構(ジェトロ)) |
1995年 商学部 産業経営学科 卒業 |
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「海外」。この言葉をキーワードに、「自分自身と向き合えたこと」、そして、「失敗を経験できたこと」。これらが私にとって、大学時代の貴重な体験となりました。
私は大学入学後、正直、特に「これを学びたい」という目標はありませんでした。一方で、自由な時間がたくさんある大学時代に、いろいろな国々を自分の目で見てまわりたいという意識はありました。1度しかない人生、日本だけでなく、世界の国々を見てみたいという気持ちがあったからです。大学2年の夏に米国を横断して以来、東南アジア、中国、欧州、アフリカと旅行し、日本と違う文化・習慣に接するにつれ、益々海外の魅力に引き込まれていきました。
そして、海外旅行を重ねていくうちに、私は自然と将来は海外と関係する仕事に就きたいと思うようになり、大学3年時には貿易実務のゼミを専攻しました。ゼミでは貿易実務検定試験の合格に向け、勉強に励みました。しかし、ゼミでの一番の宝となったのは、良き師といつでも胸襟を開いて話せる素晴らしい仲間達に出会えたことでした。
私は、大学4年の就職活動ではゼミで学んだ貿易実務を活かせる分野への就職を希望しました。この就職活動で、自分はどのような業務に適正があるのか、生まれて初めて自分の性格を見つめ直しました。自分自身を発見することは容易ではなく、悩み、失敗も味わいました。しかし、そのような悩みや失敗を体験することで、自分の性格や重視する価値観は分かってきました。今振り返ると、就職活動でこれらの苦しみを経験できたこと、そして、自分自身に向き合えたことは非常に貴重な財産となりました。
就職してからの私は、東京、地方、海外で勤務し、現在は私の勤め先の派遣プログラムにより、中央省庁で働いています。東京では特定産業における日本の市場が欧米と比べて閉鎖的か否かを検証する調査プロジェクト、地方では地元企業からの貿易投資相談の受け付けやセミナー・展示会の開催、海外ではその国の経済・貿易投資概況や進出日系企業の動向などを調査する業務を担当してきました。そして、現在勤務している中央省庁では、主に、EPA(経済連携協定)交渉、WTO(世界貿易機関)交渉、APEC(アジア太平洋経済協力)会合の一部を担当しています。
私は、東京、地方、海外、中央省庁でそれぞれ異なる業務を担当してきましたが、仕事に対する取り組み方という点では大きな違いはなかったと思います。それは、大学時代に良くも悪くも自分の性格・価値観をある程度知り得たことが要因かも知れません。その意味では、大学時代の体験は、その後の自分に何らかの影響を与えたと感じています。
私は、大学生の特権の1つは自由な時間がたくさんあることだと思います。私の場合は、その時間を主に「海外」に使い、それをきっかけに将来の職業を考えるようになりました。人それぞれ興味がある事は異なるであろうし、中には、関心がある事を模索している人もいると思います。時間は十分あります。様々なことに挑戦し、自分の可能性を探ってみて下さい。
そして、重要な転換期に差しかかった時は、逃げずに自分自身に向き合い、悩み、自分なりの答えを見つけて下さい。その苦しみは、必ずや将来の糧になります。
「前へ」の精神で頑張って下さい。応援しています。
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