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第11回 (2005.12.12) |
蟹澤 啓輔 さん (明治大学大学院 商学研究科 博士前期課程 1年生) |
2005年 商学部 商学科 卒業 |
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私は現役の大学生だった頃、勉強に一所懸命でした。それは、「大学は学問の府である」と考えていたからでしたが、もっとさまざまなことを経験しておけば良かったと今痛切に感じます。
ただ、大学生活で経験したこと、学んだことはすべて無駄にはならないと信じています。私は大学の商学部で会計学を専攻するとともに教員免許取得を目指して教職課程を履修し、専門学校で公認会計士試験を目標として勉強していました。私は将来の意思決定に際し、選択肢を多様なものとしたいと考えていたため、様々なものに挑戦してきました。
目標を一つに絞り、その目標達成に向けて全力投球した方がよいという考え方も当然あるでしょう。私もそうすべきだったかもと悩んだ時もありました。私の場合、師や環境に恵まれたおかげで、学生時代に続けた勉強は大学院への切符、教員免許、そして公認会計士試験の合格として実を結びました。しかし、会計士試験は並大抵の試験ではなく、どれ一つ実がならない可能性もありました。私は会計士試験合格に三年と半年かかりました。歴史に「もし」はありませんが、もしこの試験に特化していれば、一年や二年で合格したかもしれません。だけど、後悔はしていません。公認会計士試験に合格して思うことは、月並みですが、試験合格は人生におけるゴールではなく、通過点であるということです。
私はこれから新たな種を蒔き、育てます。これまでの様々な勉強・経験は豊かな人生のための肥しとなるはずです。人生において、無駄な努力というのはないのです。
現在、現役学生の皆さんは全力投球できるものを持っているでしょうか。持っている方は、継続的な努力を続けてください。持っていない方は、とりあえずなにかを手探りで始めてみてほしいと思います。
その「なにか」は本当に何でもよいと思います。公認会計士試験や司法試験などの資格試験やサークルやゼミ活動、アルバイトやボランティア、音楽や演劇でもよいでしょう。大学の授業を真剣に受けることから初めるのも一つでしょう。
学生には自己の可能性を追求する特権が社会から与えられ、明治大学にはその可能性を広げる環境があります。この環境を利用し、特権を享受するもしないも皆さんの自由です。但し、自由には自分の選択した行動に対する責任が付随するということも覚えていてください。皆さんが自覚を持って有意義な学生生活を送られることを祈っています。 |
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