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第3回 (2005.3.7) |
藤森 英二 さん (福島県 郡山市長) |
1955年 商学部 商学科 卒業 |
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●価値観の多様化に応じた柔軟性のある対応を
私が明治大学を卒業したのは昭和30年、まさに我が国が戦後の混乱期から立ち直り、神武景気にはじまる高度経済成長へと移りつつある年でした。
以来、我が国は世界有数の経済大国として発展を遂げてきましたが、現在、少子高齢化の進行や地球的規模での環境問題、さらには教育や雇用不安等多くの課題を抱え、戦後構築してきた社会システムを転換しなければならない重要な時期にきております。
特に近年、我々を取り巻く時代の流れ、社会変化の激しさとそのスピードは急激なものであります。市民個々の価値観も複雑多様化しており、こうした社会情勢の変化は、従来の常識では判断しがたい課題を我々につきつけてくることがあります。このため、私は常に「時代(いま)を見据えて、未来(あした)を拓く」を政治信念として、市政を推進してきました。
先を見通し、あらゆることに柔軟に対応できる心構えと日ごろの努力が肝要であり、政治も経済もこの時代変化に即応していくというよりも、むしろ、これらの動きを見据えて先取りしていかなければならない時代と考えております。
●新たな感動は未来を拓く
また、私は、人間にもロマンが必要であるように、まちづくりもロマンなくしては、成功しないと考えています。
その都市が経験した過去の出来事や歴史の中から、今でも市民の意識や心の中に共通して存在するものにロマンを求め、まちづくりのために生かすことが必要です。郡山市の場合、発展の礎となったのは、明治初期、北西約20kmにある猪苗代湖から水を引いた安積疏水の開削と、国の士族授産政策により刀を鍬にもちかえて安積原野を開拓した先人のフロンティア精神です。現在、この先人の汗の結晶であるすぐれた遺産と文化を市民全体の共通のロマンとして、これをベースに新しい息吹を加えながら、「水」と「緑」がきらめく個性あるまちづくりに取り組んでいます。
学生の皆さんも、これから先、数多くの新しい出会いや様々な体験を通して、多くの感動に出会うことになると思います。厳しい変革の時代だからこそ、この新鮮な感動を原点に、大きなロマンを持って自らの可能性に挑戦し続け、輝かしい未来を切り拓いていかれることを望んでいます。 |
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