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黒耀石研究センター

黒耀石研究センター紀要「資源環境と人類」1号を刊行しました

2011年04月21日
明治大学

 黒耀石研究センターは,研究成果の公開の場として紀要「資源環境と人類」1号(Natural Resource Emvironment and Humans 1)を刊行しました(2011年3月31日発行)。本紀要は,センター員や研究協力者による論文・研究ノートを査読制により掲載していきます。

発刊にあたって

明治大学黒耀石研究センター長 小野 昭
(「資源環境と人類」1号より引用)

 明治大学黒耀石研究センターは, 2010 年4 月から明治大学研究・知財戦略機構の付属研究施設として, 根本的な組織改編を経て新たに発足した。当センターは2000 年度の学術フロンティア推進事業「石器時代における黒耀石採掘鉱山の研究」により長野県小県郡長門町(現長和町) に設置され,2004 年度にプロジェクトは終了した。その後2006 年度からは明治大学博物館の分館として運営されてきたが, 研究の強化とネットワーク形成による国際研究コミュニティーへの情報発信を促進する目的に沿って, 改組に至った。
 新たな設置要綱では, 重点領域研究として「人類—資源環境系研究」が謳われ, 考古学, 地質学,古環境学, 文化財科学など多様な分野から, 日本列島における黒曜石原産地および関連遺跡の調査・研究をとおして, いっそう広い「人類—資源環境系研究」へ当センターの課題が展開することが期待されている。
 2010 年4 月に新発足以来, 鷹山盆地における古環境復元ボーリング調査をはじめとする複数の野外調査, ハンガリーとロシアからの招聘研究者による明治大学と長和町民大学での特別講演, 国際シンポジウムにおけるスタッフの報告, 韓国・ロシア・アメリカ・ドイツにおけるネットワーク作りの予備交渉, 明治大学リバティアカデミー教養・文化講座特別企画第1回黒耀石研究センター公開講座など, 初年度として可能な限りの多様な展開を試みた。
 本紀要は, そうした活動の中から論文, 研究ノート, 資料報告として結実した部分を掲載し, 様々な分野の交流と批判の場となることが期待される。本号には, ボーリング調査の報告と個人のさまざまな研究を収録し, また特別講演に招聘したハンガリーのV. T. ドボシ, ロシアのY. V. クズミン両氏の原稿も幸い納めることができた。
 黒曜石の理化学分析と考古学的研究を中心としつつ, 人類とそれを取り巻く資源環境の幅広い研究に本紀要が寄与し, また自然環境と人類の相互関係究明の堅固な具体相を解明する場として, 本紀要自体をおおいに鍛えてほしいと祈念する次第である。