Go Forward

黒耀石研究センター

黒曜石に関する国際ワークショップが開催されました

2011年11月16日
明治大学 研究知財戦略機構、黒耀石研究センター

共同で採取した黒曜石を分割している様子共同で採取した黒曜石を分割している様子

2011114日から6日まで、長野県長和町にある明治大学黒耀石研究センターを会場に黒曜石に関する国際ワークショップ「黒曜石の産地推定をめぐる方法論上の問題と試料の標準化をめぐって」が開催されました。これは2011年度からスタートした大型研究「ヒト資源環境系の歴史的変遷に基づく先史時代人類誌の構築」(研究代表者:小野 昭)の一環として取り組まれたものです。

近年、日本だけでなく、北米、ロシア極東地方、韓国で黒曜石に関する研究の著しい発展があったため、国際的な研究ネットワークの必要性、黒曜石試料の共有化、標準化をもとめる声が叫ばれるようになりました。

今回は、北米ミズーリ大学原子炉実験所(M.グラスコック、J.ファーガソン)、ロシア極東地質学研究所(V. ポポフ、A.グレベニコフ)、ロシアノボシビルスク地質学鉱物学研究所(Y.クズミン)、韓国ソウル大学年代測定研究所(J. C.キム)、日本からは、明治大学、東京大学、北海道教育大学旭川分校、各地の博物館関係者、民間の分析会社の若手など、黒曜石の研究者30名弱が参加し、形式にこだわらない実質的な議論をおこないました。

114日は長和町教育委員会が進める縄文時代の黒曜石鉱山跡の発掘の見学、同黒耀石体験ミュージアムを見学し、最後は明治大学黒耀石研究センターの分析ラボと考古資料施設を見学しました。

5日は合計11本の研究報告があり、本学のセンター員関係では隅田祥光(研究知財戦略機構特別嘱託)、金成太郎(文学部特別嘱託)、池谷信之(沼津市文化財センター)がそれぞれ報告を行いました。

6日は黒耀石研究センター長小野昭特任教授が座長を務め、具体的な行動の提起を行いました。最後に北海道において共同で採取した黒曜石の塊をハンマーで割るセレモニーを行い、各国・各分析室に持ち帰り分析の結果を明治大学黒耀石研究センターでとりまとめることを約束して閉会しました。この結果は、今後国際誌に発表される予定です。今回の会議は、専門家を対象にした基礎的で地味なものでしたが、国境を越えて考古学、分析化学、地質学のエキスパートが一堂に会し、懸案の課題を解決するための共同作業の貴重な第一歩となりました。