Museum

博物館

分科会 工芸の会

活動の基本方針として、毎月の例会のうち半分は外部の博物館、美術館や制作工房の見学を行い、残りは教室で会員発表・意見交換会ということで進めております。新型コロナ流行の影響で見学や対面での意見交換が制限されていましたが、2023年度に5類扱いへと変更されたことにより従来の活動を進められるようになってきました。
見学会は、6月に各自分散見学でしたが戸栗美術館「柿右衛門の五色」展見学と意見交換会、11月に益子焼産地見学会、2024年1月に出光美術館「青磁」展観賞会、3月には湯河原の「クレアーレ熱海ゆがわら工房」見学会を実施することができました。
このうち益子焼産地では、現在五代目となる窯元の萩原製陶所を見学しました。家内工業的な工房ですが、伝統的な益子焼の技法と焼成窯の説明を受けました。現在ある登り窯は2011年の東北大震災で壁の一部が被災し、補修で焼成できる状態にあるようですが震災以降は一度も焼成していないとのことでした。変わって電気炉、灯油炉、薪とガスのハイブリッド窯を導入し使用しており、薪とガスのハイブリッド窯では登り窯と遜色のない焼成が出来ているようです。成形方法も三代目(戦後)の時代は石膏型による型おこし成形、四代目は手ロクロによる量産品成形、当代はオリジナル企画作品の小ロット制作と変化していて、時代や需要に合わせた変革がなされていると感じられました。見学の際は某リゾートからの特注品の制作が行われており、250個程度の数ですが納期が1カ月と短納期で、前夜の成形品が棚に並んでいました。高度成長期の頃には登り窯の焼成を待って卸業者が一窯分そっくり買い取るというような状況であったようですが、現在は委託販売で売れたものだけしか買取りされないというように販売形態も変化しているようです。窯元からもSNS等の発信により、国内のみならず海外への販路を開発するなど製造だけではなく販路も含めた製品開発に取り組むことが要求されているようです。
次に訪れた益子陶芸美術館では、学芸員から益子焼の歴史について説明を受けました。創業が1872年(152年前)とそれ程は古くなく当時は土瓶・すり鉢・甕などの日用雑器の生産から始まりました。その後に益子焼を継承して行くうえで転機となるような出来事があり、(1)明治中期には山水土瓶の生産、(2)大正末期に濱田庄司(後の人間国宝)が移住し民芸運動を通して益子焼を国内だけでなく世界に広めた、(3)昭和30年代からは駅弁容器の注文を受けたこと等について当該の製品を手に取って解説していただきました。館内には濱田庄司を始めとした益子焼を代表する作家の作品も展示されており鑑賞しました。また企画展として「開館30周年記念の芹沢銈介展」と「生誕120年記念の棟方志功展」が開催されており日本を代表する染織や版画の作品にもふれることができました。
今年度も引き続き見学会と会員発表会を交互に行っていく計画です。また、博物館商品部門の常設展示がリニューアルされたことに伴い顧問の外山学芸員より数度にわたり解説会をしていただく予定です。
例会
毎月第2木曜日13時30分~15時30分
(お茶を飲みながらの談笑の場もあります) 
場所
博物館教室 (年会費:1,200円) 
顧問
外山 徹 明治大学博物館学芸員 
お問い合わせ先

明治大学博物館友の会

分科会へ入会希望の方、見学を希望される方は、希望される分科会名と入会希望または見学希望とご記入のうえ、下記へはがきまたはメールでご連絡下さい。

ご希望された方には各分科会よりご案内します。
(現在、募集を行っていない分科会もあります。)
※分科会に正式に入会された方は、明治大学博物館友の会に入会していただきます。(必須条件)


【はがき】
〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1
明治大学博物館友の会

【メール】
meihakutomonokaig★gmail.com
(上記アドレス中、★を@に置き換えてご利用ください。)