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  明治大学TOP > 東京国際マンガ図書館 > 米沢嘉博記念図書館TOP > 企画ページ > 「米沢嘉博と本・明治大学・コミックマーケット」第1章1項
 
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米沢英子
米沢嘉博氏夫人。現有限会社コミケット社長・コミックマーケット準備会代表補佐。同人誌即売会コミックマーケットの初期からのスタッフとして、前代表の米沢嘉博氏とともにその成長を支えた。同イベントの参加者には場内アナウンスの声で知られ、「ベルさん」の愛称で親しまれている。

間宮 勇
本学学長室専門員長・法学部教授・マンガ図書館準備委員会委員長。

〇オブザーバー参加:
安田かほる(コミックマーケット準備会・共同代表)
藤本由香里(国際日本学部准教授)
森川嘉一郎(国際日本学部准教授)

第1章 米沢と本
●本は一期一会
間宮 本日はどうもありがとうございます。私、明治大学マンガ図書館準備委員会の委員長をやっております、間宮と申します。このたびマンガ図書館のために米沢嘉博さんの蔵書を寄贈・寄託いただけるということで、今後それをどういう形で管理・運営していくかを現在委員会で検討しております。私は、生前の米沢さんは存じ上げていないのですが、委員会に参加し、また、報道などを通じて米沢さんのことを知るにつれ、これはただならぬ人だったのだなという印象を受けております。本日は奥様の英子さんに米沢さんのことを色々おうかがいしようと思っています。
米沢 よろしくお願いします。
間宮 まず、米沢さんのコレクション・蔵書の中身についてうかがいたいと思います。とはいうものの、実は私、今のところまだ箱しか見てないのですが……(笑)。米沢嘉博記念図書館のサイトにも写真が一部掲載されていますが、段ボール約4500箱という数の本や資料をいったいどうやって集めたのか、保管してきたのかを教えて下さい。
米沢 子供のころから収集癖はあって、熊本にいたときから捨てることがなかったようです。その後大学に入るために上京した後も買い続け、貯まる一方でした。最初に彼の家に行ったときも、「すごく沢山本がある!」というのが第一印象でした。最初は六畳一間だったので、置ききれない分は実家にも送っていたのですが、結婚した後は実家から送り返されてきました(笑)。後に、それなりに経済的事情が良くなると、今度は古書店通いですね。昔は買えなかったものを目録で入札を始め、それがまた次々に箱詰めで送られるようになって……。もちろん私もマンガが好きなので、私も買うからまた増えていくのですが、私が自分の分だけでも邪魔だからと捨てると「何で捨てるの?」と怒るんです。とにかく本を捨てることが大嫌いでした。そして、どこに行っても家族で海外に行ってさえも古本屋というか、本屋に行きたがる(笑)。
間宮 私も学生時代、院生時代はお金がないから本が買えなかったので、研究員になって給料がもらえるようになってからは割合好きなだけに本が買えると、喜んで買っていたのですが、「あっ!どこかでもう限界だな」と思うと止めて厳選するようになるんです(笑)。
米沢 それが普通です(笑)。
間宮 コレクターと呼ばれる人には、単純に本が好きで買って満足してしまう人がいますよね。一方で、その本の中身だけに関心がある人もいます。米沢さんはどちらですか?
米沢 両方ですね。とりあえず自分が書店で買ったものは1日2〜3冊は読んでいました。古書店通いして買ったものも、きっと老後の楽しみに買っていたのだと思います(笑)。ここで買わないで無くなるのはいやだなあと。「本は一期一会」と言っていました。特に雑誌は無くなってしまうものなので、あるときに買っておかねばと買っていました。
藤本 米沢さんのコレクションで特に多いのは、確かに雑誌ですよね。こういう雑誌を意識していたとか、このジャンルは集めていたとかいうのはあるんでしょうか?
米沢 貸本や昭和の古めの本、あとエロティックなものが好きでした。年代でいうと、昭和20年代から40年代あたりですね。
森川 しばしばコレクターがそうするように、雑誌のバックナンバーを全号揃えることを目指して、欠号を埋めていくような買い方もされていたのですか?
米沢 古本屋でおもむろに手帖を出して、この号はあるとかないとかやっている人もいますけど、そういう几帳面なことはしていませんでした。単品でも買うし、まとめて出ていればそれも買っていましたし、結構ダブっているものもありますね。
間宮 無くなってしまうなら買っておいて、自分でしっかり保存しようと思っておられたのでしょうか。
米沢 いえ、野積みにしていました(笑)。他の方に貸すのも全くいとわなかったですし、資料用の写真にするための撮影にも使っていましたから、しっかり保存というわけではなかったです。
間宮 買い集めてそれをあまりきちんと整理しないというか、管理しなかった(笑)。段ボール4千箱となると、ちょっと前に買った物でも忘れてしまうような気もします。頭の中には何がどこにあるっていうのは入っていたのですか? ご自分でこれがほしいと買ったものに関しては、おそらく買ったこと自体を覚えているとは思うのですが。
米沢 確かに買ったのだけど、どこにあるか時々わからなくなって、出てこないからと、また買ってということも(笑)。ただ、私が買ってきた本を見て、「それは僕が買ってるよ」と言われたこともありましたし、どこかの古本屋で「これは?」と聞くと「持ってるよ」と言っていたので、大体は把握していたと思います。
森川 あちらこちらの古書店に行かれていたと思いますが、とりわけ神保町に対する思い入れなどはあったのでしょうか?
米沢 毎週のように神保町には必ず行っていました。東京古書会館の古書展にはよく足を運んでいましたし、五反田とか高円寺の古書会館などにも通っていました。神保町に子供たちと行ったときは、子供たちはマンガを買い、喫茶店の古瀬戸あたりで待ち合わせして、みんなでお茶を飲んでその日に買ったものを読み始めたりしていました。そういう家族でしたね。
藤本 特にひいきだった古書店はありますか?
米沢 そういうところは私にはあまり言いたがらないので。でも、いまだに沢山の目録がいろんな古書店さんから送られてきます。
藤本 「これがあったんだよ!」って一番喜んでいらした本はなんですか?
米沢 さあ、なんでしょうか(苦笑)。日々古書店の目録を見て、にこにこしていましたけど、あまり感情には出さない。知り合いに何人かコレクターがいますが、その人たちに比べると感動はあまり出さずに静かに喜んで、何かこう「やったね」みたいな(笑)。
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