PHOTOGRAPHY__SHUHEI TONAMI/LOCATION__HOKKAIDO
学びの先に広がる世界

宇宙ビジネスで、
社会・次世代に
貢献したい。

SPACE COTAN株式会社
取締役兼COO大出大輔建築学科

2019年に明治大学大学院を修了し北海道スペースポートの運営会社に就職した大出さんに、大学時代のこと、仕事のことをお聞きしました。

美しいだけでなく強い建築をつくりたい

美しい建築をつくる建築家になる。そんな思いを抱いて、明治大学に入学しました。しかし大学2年の春に東日本大震災が発生。美しさだけでなく強さも兼ね備えた建築をつくらなければ世の中に貢献できないと感じ、耐震研究の道へ進みました。建築は本来、人よりも長く存在し、人の生活を守り、地域を豊かにするものです。研究をする中で、次の世代そしてその先まで残せる建築の在り方とは何か、と考えるようになりました。

日本における耐震の法規や法律は、震災が起きたり、新しい技術が導入されるたびに改正され続けています。多くの先人たちが積み重ねてきた叡智。そこに自分もまたひとつ積み重ねられればと思い、明治大学で大学院まで研究を続けました。そして、指導教授からの推薦もあり大林組に研究職として就職。しかしこのときは、自分が将来宇宙に関わる仕事をすることになるなんて想像もしていませんでした。

私と宇宙をつないだビジネスアイデア。

入社して1年目は、研修の一環でバスタ新宿の現場監督を経験しました。そこでは多くの人が関わる、一人では成し得ない仕事の大きさを実感。バスタ新宿は多くの生活者の方に使っていただく建築となり、思い出深い仕事の一つとなっています。その後、金属の摩擦で地震エネルギーを吸収する研究を推進し、熊本地震後の熊本城復興プロジェクトで実用化につなげることができました。

そういった研究を進める日々を送っていたある日、会社の上役から「内閣府主導の宇宙ビジネスのアイデアコンテストに参加してみないか。」と声をかけられ、参加することに。そこで私が考えたアイデアは、宇宙から地球内部をCTスキャンし、地球の地下資源の探査や地下構造の解明に役立てようというもの。このアイデアがビジネスコンテストで賞を受賞し、私と宇宙をつなぐきっかけとなりました。

北海道を宇宙版シリコンバレーに

2020年9月、堀江貴文さんがファウンダーを務め、国内民間単独開発ロケットを打ち上げたインターステラテクノロジズ社から電話がかかってきました。その内容は、北海道の大樹町にあるロケットの港となるスペースポートを運営する会社への参画依頼。なぜ自分なのかと尋ねると、理由は建築と宇宙の両方の知識を持っている人材だからとのことでした。そこから2021年に設立されたSPACE COTANに参画し、日本の宇宙ビジネスのプレゼンスを高めていく活動に奔走しています。

その中で私が注力しているのは、大きなビジョンを掲げるということ。この大樹町という街で、ただスペースポートをつくるだけでなくそれを取り巻くあらゆる産業を誘致し、宇宙版シリコンバレーを実現する。その結果、成長産業である宇宙産業で国際競争に勝ち、日本経済を成長させることが、今の私の夢です。偶然のつながりが導いてくれたこの人生。より広く社会に、次世代に貢献できるよう全力で取り組んでいきたいです。

大出大輔

建築学科/2013年卒業
大学院理工学研究科 建築学専攻博士 前期課程/2015年修了
大学院理工学研究科 建築・都市学専攻博士 後期課程/2019年修了

2019年3月大学院理工学研究科 建築・都市学専攻 博士後期課程修了。建築構造第一研究室にて、日米の耐震基準について研究。その後、株式会社大林組で研究職として勤務をしながら、博士号と一級建築士の資格を取得。現在はSPACE COTAN株式会社の取締役兼COOとして、世界中のロケットを打ち上げる港となるスペースポートの企画運営に従事。

※所属・役職は取材時点のものです。