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日清食品ホールディングス訪問





日清食品ホールディングス訪問
6月18日(金)、日清食品ホールディングス(東京・新宿区)を訪問し、お話を伺いました。

1  組織・活動概要
日清食品ホールディングスは、「食」というものに様々な観点からアプローチをしている、多くのグループ会社を持つホールディングスである。

<グループ会社紹介>
(常温食品事業)日清食品株式会社・明星食品株式会社
(低温食品事業)日清食品チルド株式会社・日清食品冷凍株式会社
(菓子事業)日清シスコ株式会社
(飲料事業)日清ヨーク株式会社
(外食事業)味の民芸フードサービス株式会社
これに加え、機能子会社や、事業子会社などがある。また、米国、アジア、欧州にも多くのグループ会社、事業体を持っている。
グループ会社の種類の多さ、地域の多さにも「食」というセグメントに様々な角度からアプローチをしていることが見て取れる。
このような多角的、先進的な試みを端的に示すものが、日清食品ホールディングスのシンボル的な商品であり、世界最初のインスタントラーメンである「チキンラーメン」だろう。
この姿勢は、CSRにも表れており、現在「百福士プロジェクト」という革新的な試みを行っている。

<百福士プロジェクト紹介>
百福士プロジェクトとは、創業50周年を機に、今後50年間に合計100の社会貢献の実施を目指す、企業の社会的責任を果たすプロジェクトである。その活動内容や名称にも日清食品グループの革新的な姿勢や、食へのこだわりを見ることができる。

■第一弾「アフリカ事業化自立支援“Oishii”プロジェクト」
貧しく食糧難に苦しむアフリカ・ケニアの人々に、インスタントラーメンの作り方を教え、経済的自立を支援。

■ 第二弾「自然体験活動指導者養成事業“あやしいオヤジを、正しいオヤジに変える!“プロジェクト」
自然体験活動の指導者資格を取得し、ボランティアとして活動することで、子供たちに自然との共生を教える。

■第三弾「防災備蓄食支援 もしもの時のチキンラーメン・カンプロジェクト」
防災・備蓄用長期保存缶を新たに開発し、大阪の3自治体に合計10万食を寄贈。

■ 第四弾「インスタントラーメンのお湯でもSTOP温暖化 お湯と生きる プロジェクト」
お湯を沸かす際のちょっとしたアクションで、たくさんのCO2排出量を削減できることを、ウェブサイトなどを通じて呼びかける。

■ 第五弾「社員 大ボランティア支援プログラム社員の大ボラ応援します!」
社員が自ら取り組む社会貢献活動の資金の一部を支援することによって、社員およびその家族が積極的にボランティア活動に取り組めるようにする。

日清食品ホールディングスHP http://www.nissinfoods-holdings.co.jp より引用・参考(2010年9月27日現在)

2 聞き取り調査
・第一弾では、ケニアでの「アフリカ事業化自立支援“Oishii”プロジェクト」を行うにあたって、困難だったことは、ケニアの人と日本人では、おいしいと感じる感覚が異なるため、ケニアの人の味覚に合うチキンラーメンの開発を行うことであった。

この際、栄養バランスとめんの長さ、フレーバー、そして現地で手に入る原料を使うということにこだわって、ケニア版チキンラーメンを完成させた。

ジョモケニヤッタ農工大学内に日本の技術を導入して生産ラボをつくり、1日1000食の生産を開始、浄水設備付きの車で学校に給食を配布している。

・日清食品グループの行っている事業活動は、人のために行う。人の役に立つことをすれば、おのずと利益はついてくる。

・第四弾「お湯と生きるプロジェクト」では、今までの食品業界が行っていたような製品を作る過程でのエコではなく、消費者が使うときのエコを考えた。

・日清食品グループは、CSR活動においても、日清食品グループならではのユニークな活動を心がけている。

・第五弾「社員の大ボラ応援します!」では、第五弾では、日清食品グループはNPO団体等にお金だけを与えるだけの活動ではなく、自分たちで汗をかきながら行うことに意味があるとしているため、寄付を行うのではなく社員自身が参加をすることを前提としている。

3  学生の感想
・第五弾「社員の大ボラ応援します!」では、会社内での社会貢献を目指す社員に、積極的に資金を提供して支援するという方法はとても素晴らしいと感じた。
・第二弾の「“あやしいオヤジを、正しいオヤジに変える“プロジェクト」では、人生にやりがいを持たせる事ができるという点で、支援者側にとっても大変意味のあることだと思った。
・『スープはどこの国にもある。ラーメンは麺+スープなので、麺に現地のスープを足せばその土地オリジナルのラーメンになる。だから現地に根付きやすい。』という話を聞き、ラーメンはBOPビジネスに発展しやすい商品でもあるのだと思った。
・また、NPOとの協働を行っているか?という疑問に対し、『NPOとの協同はしていない。資金を提供しておしまい、ではなく、自分達も汗を流すことに意味がある』とおっしゃっていた言葉に、大変感銘を受けた。企業にもこの姿勢は大切だと思った。
・百福士プロジェクトは50年という長い期間をかけた壮大なプロジェクトであることにとても驚いたが、今までのプロジェクトはいずれも日清食品グループの特徴を生かしたプロジェクトが遂行されており、今後のプロジェクトにも注目していきたいと思う。
・日清食品グループにはもっとこの百福士プロジェクトの活動をPRし、皆にこの活動の素晴らしさを知ってもらいたいと思う。
・今回の訪問で、自分たちの身の回りにあふれる『食』という問題を通して、国際協力にいかに自分たちが関わっていけるのかを深く考えさせられた。この訪問を、今後の研究テーマに生かしていきたいと思う。
日清食品ホールディングスのみなさん、お忙しい中インタビューに応じていただき、本当にありがとうございました。ご協力に深く感謝申し上げます。(作成:井上唯可)


実施日 2010年6月18日
実施場所 東京都新宿区
担当教員 小関隆志