過去の展覧会 2009年

東アジア・海のシルクロードと“福建” —陶磁器 茶文化 東西交易 水中考古—

2009年度春季特別展
東アジア・海のシルクロードと“福建” —陶磁器 茶文化 東西交易 水中考古— 
(1)実施形態
 海のシルクロードの出発点“福建”展開催実行委員会の主催する巡回展覧会の東京会場として開催。東京会場は学習院大学史料館と2会場に分かれた。
主 催 明治大学博物館 明治大学文学部 福建博物院(中国)
海のシルクロードの出発点“福建”展開催実行委員会
後 援 中国人民共和国駐日本国大使館文化部 千代田区
会 期 2009年4月13日(月)~5月18日(月) 36日間
会 場 明治大学博物館特別展示室・常設展示室
入場料 ¥500
入場者数 4,142名
企画・構成 海のシルクロードの出発点“福建”展開催実行委員会
氣賀澤保規(博物館研究調査員・文学部教授) 外山徹(商品・刑事部門学芸員)

(2)趣旨
 東シナ海と南シナ海の接点に位置する中国福建省の海外交流は、10C初頭頃から盛んとなり、宋・元代(10C中頃~14C中頃)には中国を代表する貿易拠点となった。この地で生み出された様々な文化や工芸品は、東アジアの海を渡って世界に広がった。宋代に福建で生産された茶と茶道具は、中国国内で高い評価を得ただけでなく、日本など海外の茶文化にも大きな影響を与えた。福建産の陶磁器も盛んに輸出され、世界各地の陶磁器生産に強い影響を与えた。これらに関する文物および関連資料の展示を通し、アジア、日本、ヨーロッパを視野に入れた歴史学、考古学、地理学の学際的複合的研究領域の構築が促進されるとともに、人類史上における海外交流の具体相を見直すことにより、グローバル化の進展という今日的状況下において、「アジア文化」「海域文化」「日本文化」「国際性」などへの認識や関心を深める機会とする。

(3)展示構成
(1) 福建文化のあけぼの
 西暦907年に唐が滅亡、後梁からびん国(※)王に封ぜられた王審知の統治下、福建の経済力は飛躍的に伸展した。ここでは、王氏一族ゆかりの銅製香炉や王審知の次男の妻劉華の墓所から発見された陶俑など福建文化早期の優品を展示。また、福建は朱子学の祖である朱熹をはじめ、宋代(660~1279)には科挙の合格者を多数輩出しており、名だたる文人の出身地として知られる。古代の青銅製祭祀具の複製品や硯など文人文化にまつわる文物を展示した。
(2) 海のシルクロードの出発点“福建”
 びん国(※)王家に嫁いだ劉華の墓所から発見されたヒスイ色の壷は、遠くイスラム世界からもたらされたもの。10世紀初頭にはすでに、福建の対外交易は活性化しており、海域文化にまつわる貴重な文化財が残る。通商に用いられた木簡類、異国に没したキリスト教徒や琉球(現沖縄県)人の墓碑、スペインの銀貨、貿易品として世界的な名声を博した徳化窯やしょう州(*)窯の陶磁器を展示した。
(3) 藍色文明
 福建沿海はアジア各地やヨーロッパ方面と行き来する交易船が盛んに通航する海域で、その海底からは積荷を満載した沈没船遺跡がいくつも発見されている。ここでは、近年の「水中考古学」の飛躍的な発展の成果を展示した。中国の貿易商品として世界的な名声を博した陶磁器—竜泉窯(浙江省)の青磁、景徳鎮窯(江西省)の青花をはじめ、福建産の白磁、青磁、黒釉陶など、海底から引き揚げられた陶磁器の数々を展示した。
(4) 福建の茶文化
 喫茶の習慣は8世紀後半から普及しはじめ、福建は茶の一大産地に成長した。五代の頃(10世紀前期)には茶園が開拓され貢納が始まり、宋王朝の管理下にあった北苑茶園の跡から出土した遺物を展示。日本では鎌倉時代の後期から室町時代の中期にかけて、茶の湯に興じる貴族や上級武士の間で「唐物」として垂涎の的となった福建産の黒釉の茶碗や茶入として用いられた褐釉の小壷を展示した。
(5) 福建の古窯
 陶磁器大国である中国では、福建省においても多くの産地が展開した。青磁、黒釉陶、白磁、青花…。中国を代表する陶磁器の種別が一通りそろい、中でも建窯の黒釉陶、徳化窯の白磁、しょう州(*)窯の呉州赤絵などが出土した9~10世紀から19世紀に至る各時代の陶片を一堂に展示した。
(6) 現代日本陶芸に生き福建の伝統
 我が国の陶磁史は、世界的な先進地であった中国の白磁、青磁、黒釉陶、青花の製法の秘密を見出し、国産化を実現しようという試みの連続であった。その結果、単なる模倣にとどまることなく、日本独自の作風も生み出されてきた。福建陶磁の影響を指摘できる、現代の日本陶磁器を展示した。
※「びん」は門がまえに虫
*「しょう」はさんずいに章 
  

(4)展示資料数
借用機関;2個所  出展資料;75点(内借用67点)
  
(5)関連事業
ア 開催記念シンポジウム
水中考古学と福建の陶磁器
日 時 2009年4月25日(土) 13:00~17:00
講 師 森 達也(愛知県陶磁資料館主任学芸員)
張 威(中国国家博物館水下考古研究中心主任)
石原 渉(アジア水中考古学研究所副理事長)
受講料 無料
受講者数 123名
趣 旨 特別展の出展品の中でも多くを占めているのが沈没船から発見された陶磁器である。福建沿海は龍泉窯の青磁や景徳鎮窯の青花など中国を代表する陶磁器が海外に輸出されるルートであった。沈没船遺跡の発掘をめぐる中国水中考古学の成果と、福建で生産された陶磁器の輸出と日本への影響などについて報告をおこなった。
イ 明治大学リバティアカデミーオープン講座
特別展開催記念講座「東アジア・海のシルクロードと“福建”」
日 時 2009年5月8日(金) 13:00~17:00
講 師 加藤千洋(朝日新聞編集委員・明治大学文学部講師)
渡辺美季(東京大学大学院人文社会系研究科助教)
加藤 徹(明治大学法学部教授)
司 会 氣賀澤保規(明治大学文学部教授)
受講料 一般¥1,000
受講者数 286名
趣 旨 福建のもつ特色や日本に与えた影響を考える公開シンポジウム。北から福建に移住した客家(はっか)とかれらの住居=土楼(どろう)(加藤千)、琉球人と福建との交流(渡辺)、日本演歌の源流の一つともなる江戸時代に伝えられた福建音楽(加藤徹)について報告し、最後に講師全員でフリートーキングをおこなった。
ウ 連続講座
明大アジア史講座「東アジア海域文化と福建」
日 時 2009年4月14日~5月19日の毎週(火)全5回
15:00~16:30
講 師 氣賀澤保規(明治大学文学部教授)
櫻井智美(明治大学文学部准教授)
寺内威太郎(明治大学文学部教授)
荒川正明(学習院大学文学部教授)
受講料   ¥13,000
受講者数  38名
趣 旨   福建を中心とする東アジアの歴史と文化について、王審知とびん国(※)、墓碑に見る東西交流(氣賀澤)、マルコポーロが記した宋元時代の福建(櫻井)、倭寇時代における鄭和と鄭成功の活躍(寺内)、福建の陶磁器と日本(荒川)といった、従来ほとんど知られていない福建の実相を提示した。
※「びん」は門がまえに虫
エ 文学部・博物館共同企画
(1)
レクチャー&ワークショップ「中国と日本茶道」
日 時 2009年4月30日(木) 15:00~16:30
講 師 竹内 実(京都大学名誉教授)
実 演 竹内 実、明治大学茶華道研究部
受講料 無料
受講者数 117名
趣 旨 開催中の特別展に出展されている福建産の黒釉茶器は、日本にも輸入され、貴族や上級武士に愛好され、日本の茶道文化は福建の茶文化に刺激を受けつつ独自の進化を遂げる。中国に関する碩学であり、武者小路千家の重鎮である竹内実先生から講義をいただき、日本茶道のお点前を披露した。
(2)
ギャラリートーク 列品解説と茶の夕べ
日 時 2009年4月17日、24日、5月15日(金) 17:30~18:30 ※茶の夕べは4/17・5/15
講 師 列品解説
4/17氣賀澤保規(明治大学文学部教授)
4/24外山徹(明治大学博物館学芸員)
5/15櫻井智美(明治大学文学部准教授)
呈茶実演 亀岡紀子(ラサ企画)
受講料 無料
解説参加者数 4/17・24名 4/24・23名 5/15・66名
趣 旨 アジア史教員及び博物館学芸員が、それぞれの視点により出展品の意義を解説。合わせて、中国茶に関するワークショップを行った。
 
 

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