過去の展覧会 2010年

ことわざワールドへようこそ —時田昌瑞ことわざコレクションのすべて—

ことわざワールドへようこそ —時田昌瑞ことわざコレクションのすべて— 
(1)実施形態
主 催 明治大学図書館 明治大学博物館 明治大学ことわざ学研究所
会 期 2010年5月28日(金)~7月19日(月) 53日間
会 場 明治大学博物館特別展示室
入場料 無料
入場者数 5,379名
企画・構成 時田昌瑞(ことわざ学研究家) 外山 徹(商品・刑事部門学芸員)

(2)趣旨
 ことわざ研究の第一人者として、ことわざ及びいろはカルタ関係の書籍・事典類の編著・監修を多数手がけられている時田昌瑞氏は、本大学の特定課題研究所「ことわざ学研究所(研究代表者法学部山口政信教授)」に客員研究員として参画されている。時田氏が長年にわたって収集してこられた関係資料のコレクション約3千5百点を、2007~2009年度にかけて明治大学図書館・博物館が受贈し、2010年3月末にその収蔵図書・資料目録を刊行している。そこで、本大学に貴重な学術資料が収蔵されたことを社会にアピールし、ことわざ学研究の振興と普及・啓発に資するため、目録刊行記念の展覧会としてその多彩なコレクションの一端を一般公開することになった。展覧会では、和装本や刷物形式のことわざ集、ことわざをモチーフとした錦絵・刷物、書画、工芸品や生活資料、江戸時代から現代に至るあらゆる時代とジャンルにわたるカルタなどを一堂に展示した。

(3)展示構成
<博物館会場>
—ことわざの世界—
工芸品 “ことわざ”にまつわる図像は、立体像として木彫や陶人形に表現しているもの、及び美術工芸の文様表現として用いているものに分かれる。陶磁器、漆工、木工、金工、染織の代表的な作品を並べてみた。
工芸品(刀装具・根付) ことわざの図像表現を意匠に用いた工芸品の内、小型のものを集めた。印籠や根付、茶道の棗など、偏執的とも言える繊細な文様表現は、我が国における近世工芸の特筆すべき特色と言える。
生活資料 高度経済成長期以前に使用されていたと考えられる日常生活用品、信仰習俗に関わるもの。日々の生活に用いられる道具類の意匠として、ことわざの図像表現がおびただしく採り入れられていたことが分かる。
現代商品 “ことわざ”をモチーフとする器物の内、比較的近年製造されたものを集めた。コレクションは、ことわざの図像をあしらった商品というものが、今日なお数限りなく存在することを示唆している。
玩具 子どもの遊び道具の中にも多くの“ことわざ”が取り入れられている。その代表格は“いろはカルタ”であるが、双六やメンコの図像としての利用も目立つ。
(ことわざ別集合展示)
一富士二鷹三茄子 初夢に見ると縁起がよいものを並べた表現として知られる。伝世された品々を見る限り、初夢にかかわらず日常的な“縁起”かつぎの表現としてポピュラーな存在であった。
鬼に金棒 もともと強いものがさらに強力化すること、あるいは最高の条件が整うことのたとえ、として解釈される。このことわざの図像表現の使用例として特徴的なことに商標や商業広告によく用いられている点を指摘できる。
瓢箪から駒 白い驢馬を駆って千里をかける仙人が、乗らない時は瓢箪の中に驢馬を収めていたという中国の昔話が起源。思いがけないことが実際に起こること、あるいは、現実には起こりえない、ありえないことのたとえ。
鯉の滝上り 中国の登竜門の故事に由来。“竜門”とは黄河流域にある急流のことで、魚は遡上することが難しいが、上れば竜になるという言い伝え。転じて立身出世をなすことのたとえとして幅広く受容されることになった。
—かるたの世界—
たとえ系カルタ “いろはカルタ”の前身をなすと見られるもので、語句が“ことわざ”であり、語数が50以上ある。冒頭字が同じ字ではじまる句がある一方、「い」「ろ」「は」のすべての文字がそろっていない。
上方系いろはカルタ いろは順に「京」までの48枚組となるもので、江戸後期の早い時期から京・大坂を主に西日本で大正時代まで存続した。ことわざの組み合わせが実に多彩であることが、「江戸系」との相違。
江戸系いろはカルタ 江戸後期に江戸で出され、「犬も歩けば棒に当たる」ではじまり「京の夢大坂の夢」で終わる48枚のもの。冒頭の札によって「犬棒カルタ」と俗称されている。最もポピュラーな“いろはカルタ”。
新案系いろはカルタ 「江戸系いろはカルタ」「上方系いろはカルタ」とは異なることわざからなる48枚組のいろは順のカルタの総称。言わば第三の系統となるもの。
混交形いろはカルタ “ことわざ”を用いた各系統の混交形。「江戸系」「上方系」の語句が一定程度占めることを基本要件として、その上で、他のことわざもしくはことわざ以外の語句が混ざっているもの。
戦後のいろはカルタ 第2次大戦前まで主要な存在であった「江戸系いろはカルタ」から、少ないもので4句、多い場合は半数を超えるまで、異なることわざに差し替えられた昭和20・30年代のもので、40年代末頃まで存続した。
現代のカルタ 昭和48・49年頃にいろはカルタのブームが起こり、古いものが復活する現象が見られた。その頃以降、今日までに発行された字札にことわざを用いたカルタ。このブームは大人の世界で起こったもの。
学習カルタ いろはカルタに含まれることわざには教訓的な意味合いを含むものが多いが、その印象から来る影響があるのかどうか、子どもの教育を目的に製作されたカルタも多い。
郷土カルタ 地域の風土や歴史民俗をテーマとするカルタ。第2次大戦後間もなくに製作された「上毛かるた」がよく知られるが、群馬県は郷土カルタ運動の中心的な地域といえる。
文芸・芸術系カルタ 題材を俳句や和歌、小説、昔話、童謡の歌詞、スポーツなどに求めたカルタ。論語を題材としたものは江戸期のものだが、以降、現代に至る各時代のものが見られる。
キャラクター・カルタ 漫画やテレビアニメを題材としたカルタ。第二次大戦後間もなくの一枚刷りのものから現代のものまで。マスメディアに依拠する商品の威力は大きく、昭和40年代にはいろはカルタ衰退の一因をなした。
カルタ参考資料 カルタをモチーフとしたデザインや製品を集めた。四角の枠の中に図像と冒頭の1文字を丸囲いで配した構図と短い字句に含意を込めた文面は、我が国に特色的な優れたデザインとして評価できる。

  

<図書館会場>
Aゾーン 
 絵師の高久隆古の筆によるいろはカルタを一本の巻物にした絵巻。野々口立圃のような俳人もいれば、戯作者として著名な山東京伝、奇想の絵師ともいわれる長澤蘆雪などの掛け軸など。
Bゾーン
 頼山陽の巻子本と浮世版画、代表的な絵入り本を中心に展示。喜多川歌麿・葛飾北斎・歌川豊国・渓斎英泉・歌川国芳・月岡芳年、昇斎一景・歌川芳虎・橋本周延、また、漫画家北沢楽天や、建築家伊東忠太の作品を展示。
Cゾーン
 『野語述説』『世話重宝記』『和漢故事要言』『本朝俚諺』など俚諺集の版本、「布流眼貸浮世諺」、歌川広重「譬へ尽し」、歌川芳盛「教訓いろはたとへ」や「人こころ浮世乃たとへ」など一枚のものの〈ことわざ尽くし〉を展示。
Dゾーン
 子ども向けの遊びとなる双六や凧などの遊具や、教科書・児童書類をあつめた。ことわざを扱った教科書は明治期に限定したその主なものを選び、児童書は現代の人気ある漫画を選んだ。

(4)展示資料数
233点(内図書館会場70点、博物館会場163点)
  
(5)開催記念講演会
日 時 2010年6月5日(土) 13:00~16:30
講 師 時田昌瑞(ことわざ・いろはカルタ研究家)
テーマ 美術文化としてのことわざ
講 師 山口政信(明治大学法学部教授・明治大学ことわざ学研究所代表)
テーマ ことわざ教育の新思潮—模倣と創造を往還する創作ことわざ—
受講料 無料
参加者 75名
 
 

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