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1967年8月号

  3号以来のゲスト読み切りはこの号以降シリーズ化する。特集「新人まんが家競作集 夏」としてこれまでの新人賞で入選、佳作となった作家たち、宮谷一彦、白石晶子、青柳裕介、中島宏治、岡田史子、小山田つとむ、長谷川法世(はせがわほうせい名義)の読み切り作品を掲載。他に記事特集としてアンケートをもとに当時の児童マンガの状況を各種ベストテンのかたちでまとめた「まんがベストテン」。尾崎秀樹「まんが月評」はTVアニメの状況について脚本家の辻真先、東京ムービーの藤岡豊、東映動画の白川大作らアニメ製作者、当時『サイボーグ009』の劇場用アニメが成功を収めていた石森章太郎と語り合う「TVまんがの焦点」。「まんがジャーナル」では新宿の喫茶店「コボタン」でおこなわれた「COM展」のニュースがある。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
永島慎二「シリーズ黄色い涙 青春残酷物語 フーテン」
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』

名作劇場:
手塚治虫『ハトよ天まで』
「人間牧場」

ゲスト読み切り:
佐藤まさあき「猫」

1967年9月号

  中島宏治『MAN画家・デス氏』が新連載、新鋭読み切りとして木崎しょうへいのパロディ「天地想像」が掲載。一貫した中島の起用や木崎や長谷邦夫のパロディなど『COM』のモデルには『MAD』があったのかもしれない。月例新人賞は満を持してという感じで青柳祐介。尾崎秀樹「まんが月評」は福本和也、平井和正の原作者二人と桑田次郎、つのだじろう、貝塚ひろし、水野英子、細野みち子という一線まんが家、サンデー、マガジンの編集者による「原作の実情をさぐる」。記事特集は峠あかねと編集部の連名による「登場人物考察 キャラクターは生きている」という先駆的なキャラクター論である。手塚治虫のコラム「まんが家一言診断」は実名を挙げたディスりで目が点になる。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
永島慎二「シリーズ黄色い涙 青春残酷物語 フーテン」
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』
中島宏治『MAN画家・デス氏』

名作劇場:
手塚治虫『ハトよ天まで』

ゲスト読み切り:
水野英子「旅」
佐藤まさあき「猫」

月例新人入選作:
青柳祐介「いきぬき」

1967年10月号

  他に木崎しょうへいの風刺マンガ「ノンビックリション劇場 東南アジヤへの道」が掲載。特集として「東京六大学まんが合戦」として慶応、東京、法政、明治、立教、早稲田の6大学の漫研会員の作品を1コママンガ中心に収録。「学漫の歴史と現状」という補足記事も興味深い。記事特集はジャーナリスティックなレポートとしてその実情を追った「まんが家アプローチ アシスタント」。尾崎秀樹「マンガ月評」はまんが家、編集者、読者による『漫画アクション』、『ヤングコミック』などが創刊され、当時話題になりはじめていた「青年まんが」をテーマとする座談会「青年まんがを診断する」。「まんがと私」には先ごろ亡くなった立川談志とともになんと吉永小百合が登場している。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
永島慎二「シリーズ黄色い涙 青春残酷物語 フーテン」
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』
中島宏治『MAN画家・デス氏』
名作劇場:
手塚治虫『SF・ファンシーフリー』
『ハトよ天まで』

ゲスト読み切り:
川崎のぼる「おふくろさん」

月例新人入選作:
星野安司「つめたい汗」

1967年11月号

  他に読み切りとして沼田清「牙」、森田拳次「のら猫ポチ」掲載。「コボタン」でおこなわれた「劇画展」のレポート「劇画家よ 団結しよう!」を佐藤まさあきが寄稿。特集は山本暎一、岡田英美子をメインライターとした「TVアニメはなにをしてきたか!?」。囲みのコラムの書き手が森卓也、久里洋二をはじめ、当時のマガジン編集長、内田勝、大塚康生と辻真先の連名など、いま見ると異様に豪華である。尾崎秀樹「まんが月評」は藤子不二雄、赤塚不二夫、やなせたかし、水木しげるらとのギャグマンガ談義「まんがの笑いを探る」。「ぐら・こん まんが予備校」には16歳のあだち充、17歳の福山庸治、18歳の居村真二の名がある。梶原一騎「わが原作作法」連載開始。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
永島慎二「シリーズ黄色い涙 青春残酷物語 フーテン」
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』
中島宏治『MAN画家・デス氏』

名作劇場:
手塚治虫『ハトよ天まで』

ゲスト読み切り:
川崎のぼる「ある浪人の死」

月例新人入選作:
松森正「執念に哭け」

1967年12月号

  単発読み切りとして下元克巳「心の目」、8号に続いての新人まんが家競作企画「女流新人まんが家競作集 木枯」として岡田史子、白石晶子、竹宮恵子、福田活子の短編が掲載。記事特集はジャンル別に1967年のマンガ界を振り返った「一九六七年度まんが界総まくり」、尾崎秀樹「まんが月評」でも「まんが評論家から見た'67まんが界+と−」と相補的な構成になっている。この号の「まんが月評」は佐野美津男、峠あかねとともに石子順造と石子順の両石子が参加。「まんがジャーナル」では『リボンの騎士』のアメリカ輸出契約締結のニュースがある。「ぐら・こん」では'68年度からの新人賞、まんが予備校への応募作品のレギュレーション変更が告知。「児童まんが」と「青春まんが・実験まんが」の二部門に分かれての受付に。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
永島慎二「シリーズ黄色い涙 青春残酷物語 フーテン」
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』
中島宏治『MAN画家・デス氏』

名作劇場:
手塚治虫『ハトよ天まで』
ゲスト読み切り:
赤塚不二夫「らくがき」

1968年1月号

  一周年記念号、巻頭に手塚のコメント「「COM」一周年を迎えて」がある。手塚のエッセイ連載「ぼくのまんが記」が開始。読み切りとしてタイガー・立石「棒太郎とサッカーくん」、しみず・清志「雪の日に」、飛鳥幸子「ほおえみをあなたに」。尾崎秀樹「まんが月評」は旭丘光志、宮谷一彦、池上遼一など新人作家を集めた「1968年はわれらの年だ」。あわせて川本コオ、岡田史子、つりたくにこ、青柳祐介による「私の抱負」も掲載。新人まんが賞は児童まんがコースが高須礼二、青春・実験まんがコースでは岡田史子がのちに伝説的な作品になる「ガラス玉」で受賞。「ぐら・こん まんが予備校」にはもりたじゅんの名がある。佐野美津男の「いいたい放談」がアトムをネタにした手塚批判である。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
永島慎二「シリーズ黄色い涙 青春残酷物語 フーテン」
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』

名作劇場:
手塚治虫『ハトよ天まで』
ゲスト読み切り:
あすなひろし「300,000km/sec」

月例新人入選作:
高須礼二(高須礼二郎)「ガメちゃん社長」 岡田史子「ガラス玉」

1968年2月号

  永島慎二の連載が休載のため永島の旧作「ステッキ親子」を掲載。池内誠一「冒険者たち」、石井いさみ「てるてるぼうず」、ふぐ正「口弦馬」、篠原とおる「夢よくたばれ」と読み切りも多い。尾崎秀樹の座談会企画は全国のまんが同人グループメンバーを集めた「座談会 ぼくらはまんが予備軍」だが、この号から連載名「まんが月評」の表記が消滅。連載と謳われておらず、著者名もないが、この号から「海外まんが紹介」がはじまっている。手塚治虫が非常に唐突かつ苛烈な筆法で「石子順造氏への公開状」を発表し、石子との論争(?)がはじまっているのも目を引く。「まんがジャーナル」には「漫画100年展」レポートが掲載。「ぐら・こん まんが予備校」には児童まんがコースに19歳の山岸凉子が登場している。
連載:
手塚治虫『火の鳥』
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』

名作劇場:
手塚治虫『SF・ファンシーフリー』

ゲスト読み切り:
望月三起也「仇討ち」

月例新人入選作:
はせがわほうせい「正午に教会へ」

1968年3月号

  藤子の短編は冒頭にオバQがカメオ出演。他に読み切りとして岡田史子「サンルームのひるさがり」、園山俊二「火の豚」が掲載。この号はおそろしく力のはいった記事特集「まんがは芸術か!?」が読みどころ。佐藤忠男、尾崎秀樹、峠あかね、石森章太郎の力の入ったテキストに加え、北沢方邦や岡本太郎、横尾忠則のコメントまでとっている。司会の尾崎秀樹と斉藤次郎を舵取り役に望月三起也、C・トクタロー、永島慎二と全く違うタイプの作家を集め、読者の視点まで配慮した座談会「芸術性と大衆アピール」もおもしろい。まんが表現論の先駆、草森紳一「ストーリーまんがの文法論」が連載開始。「まんがと私」に当時の東京都知事である美濃部亮吉が書いているのもなかなかすごい。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
永島慎二「シリーズ黄色い涙 青春残酷物語 フーテン」
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』

名作劇場:
手塚治虫「狂った国境」

ゲスト読み切り:
藤子不二雄「小池さんの奇妙な生活」

月例新人入選作:
萩村純忠「へんな天才」
川柳敬太郎「光源氏のひげ」(佳作一位)

1968年4月号

  月例新人賞入賞作から選ばれる年次の「COM新人賞」発表号。選考会の模様も採録されているが、手塚治虫は欠席。受賞者は岡田史子と萩村純忠で、それぞれ受賞第一作として岡田「春のふしぎ」、萩村「雲吉空をいく」が掲載。「ぐら・こん まんが予備校」も過去一年の総括中心になっている。読み切りは他に永井豪による『ジュン』のパロディ「ふぁんたじい・わらうど バン」。特集はまんが同人誌の歴史やデータを網羅した「全国まんが同人誌」で、こちらでも同人誌からの採録作、ながしまあきら「四郎の春」、浜崎てつみ「つくしんぼ」の二編を掲載。石井いさみのイラスト詩「愛のスケッチ」連載開始。この号で永島の連載が本人の希望により中断、旧作「ステッキ親子」の再録に。2月号での手塚の批判に石子順造が反論「手塚治虫氏への反論」を寄せ、「海外まんが紹介」に小野耕世が初登場している。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
石森章太郎『ファンタジーワールド ジュン』
永島慎二『ステッキ親子』

ゲスト読み切り:
水島新司『権兵衛ホテル』

(文責:小田切博)
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