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1970年9月号

  3月号で虫プロ商事から独立した『COM』編集部がこの号から虫プロ商事に出戻っている。連載では『トキワ荘物語』が手塚治虫で最終回。長谷邦夫「盗作世界名作全集」、松本零士「無限世界シリーズ」の2シリーズ連載も終了。宮谷一彦『白夜』が新連載。読み切りは青柳裕介「楽園」、大山学「幻想の異国」、村岡栄一「いつか見た風船」、岡田史子「トッコ・さみしい心」は同人誌発表の旧作の再録。記事特集は当時の人気マンガ家たちのプロダクション、スタジオを紹介した「まんがプロ開放の図」。編集後記に「東京のまんがプロダクションを訪問する」のに役立つよう作成したとあり、実際に住所も掲載。作品リストは貝塚ひろし。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
手塚治虫『トキワ荘物語』
長谷邦夫「盗作世界名作全集 ねじの回転」
松本零士「無限世界シリーズ 140万光年の沈黙」
中島宏治(ZABOW)「ザボウの世界」
宮谷一彦『白夜』

月例新人入選作:
芥真木「とべない羽」(第一席)
高橋伸樹「波阿蓮上人行状絵詞」(第一席)

1970年10月号

  長谷邦夫『フロイト』、松本零士「未完成世界シリーズ」の二作が新連載。どうやら『火の鳥』が間に合わなかったらしく、ページが足りない分を手塚治虫作の一こまものと真崎・守の旧作「そこだけの暗闇」の再録で埋めている。読み切りとしてみやはら啓一「栄養不良少年」、樋口太郎「もしも私がセールスしたら」、楠勝平「ふじが咲いた」、飛鳥幸子「エルシノア城奇談」、岡田史子「いとしのアンジェリカ」。記事特集は『トキワ荘物語』完結記念の執筆者を集め(手塚治虫は欠席)、大家さんを含めた座談会「われらトキワ荘の仲間達」(司会は草森紳一)。記事では他に真崎・守の文章があるが、これは宮谷一彦の連載の一部なのかもしれない(が、よくわからない)。作品リストは望月三起也。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
石森章太郎『サイボーグ009 神々との闘い』
中島宏治(ZABOW)「ザボウの世界」
宮谷一彦『白夜』
長谷邦夫『フロイト』
松本零士「未完成世界シリーズ 狂詩曲第五番」

月例新人入選作:
帆蒼幻「雨が降る時ァ」(第二席)

1970年11月号

  読み切りはあすなひろし「スウという名の童話」、青柳裕介「かえろ」、樋口太郎「もしも私がセールスしたら」、岡田史子「黒猫」。他に「秋の新人競作集 友情」として「ぐら・こん」枠内で公募された新人の二作品、芥真木「結び目」、中山かえる「1人と1匹」。記事特集は読者からのアンケートハガキをもとに構成した「『COM』読者白書」。9月号で「まんがに対する情熱を失った」と休業宣言した永島慎二の異様な人気が目立つ。連載記事では草森紳一「まんが考見録」がなぜか休載(近況欄にのみ登場している)。小野耕世「海外まんが紹介」では渡米した森田拳次の近況を本人の手紙、作品で紹介。『ニューヨーカー』への持ち込みの様子などがわかって興味深い。作品リストはつのだじろう。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
石森章太郎『サイボーグ009 神々との闘い』
中島宏治(ZABOW)「ザボウの世界」
宮谷一彦『白夜』
長谷邦夫『フロイト』
松本零士「未完成世界シリーズ 無限軌道1997」

月例新人入選作:
居村眞二「拳銃無宿」(第二席)

1970年12月号

連載では石森章太郎『サイボーグ009 神々との闘い』が終了、というか中断。石森のコメントが付されているのだが、ほとんど捨て台詞である。宮谷一彦『白夜』、松本零士「未完成世界シリーズ」も最終回。松本の作品は「四次元世界シリーズ」から続く短編連作シリーズ全体の最後と見るべきだろう。読み切りでは樋口太郎「もしもわたしが死神だったら」は明示されていないが、10、11月号の同題(ともいえないのだが)作品と連作をなしているようだ。他に岡田史子「無題」永島慎二の旧作再録「心の森に花の咲く」前篇。「ぐら・こん コミックスクール」は珍しく大絶賛でのちの諸星大二郎、諸星義影がデビュー。記事特集は主要少年誌編集者による座談会「少年まんがはどこへ行く」。作品リストは山根あおおに。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
石森章太郎『サイボーグ009 神々との闘い』
中島宏治(ZABOW)「ザボウの世界」
宮谷一彦『白夜』
長谷邦夫『フロイト』
松本零士「未完成世界シリーズ 電話」

月例新人入選作:
諸星義影(諸星大二郎)「ジュン子・恐喝」

1971年1月号

  新年号であるため綴じ込ピンナップとして永島慎二のイラストを使ったカレンダーが付属。巻頭の読み切り松本零士「下宿荘偉人伝」は『大四畳半シリーズ』の原型のような作品。他に矢代まさこ「ひいらぎ」、萩尾望都「ポーチで少女が小犬と」、中島宏治(ZABOW)「人魚の群」、たちいりハルコ「ゆとぴあの花」、楠勝平「はぁーはぁーはぁー」、やまだ紫「はためく」、二回分載の永島慎二の旧作再録「心の森に花の咲く」の後篇。作品リストは山根赤鬼。連載記事では斉藤次郎による「まんが月評」が新連載。藤島宇策『マンガ亡国』、石子順造『現代マンガの思想』、『対話録・現代マンガ悲歌』の三冊のマンガ論系の書籍の書評も付属。藤子不二雄「マンガニカ」では海外の海賊版をとりあげている。坂田靖子さんからの投書が載った「ぐらこんロビー」にはやまだ紫の読者への反論が。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
藤子不二雄「白い童話 ひっとらぁ伯父サンの情熱的な日々」

月例新人入選作:
黒沢順「訪問者」(第一席)

1971年2月号

  連載では長谷邦夫『フロイト』が終了。読み切りとして川本コウ「眠くなるまで」、みやはら啓一「わだかまり」、永島慎二「ゆきおんな」はなんとちゃんとした新作。競作「三人展」は南泉寿、秋本美樹、ZABOWによるものだが、目次ではZABOWではなく中島宏治になっている。ZABOW作品は目次にないことも多く、編集部から嫌われていたのだろうか。作品リストは横山まさみちの一回目。「ぐら・こん ストーリーまんが教室」は常連の芥真木がこれまでの実績込みで入選に(むしろ掲載作は選評で全然ほめられていない)。佳作5席に大友克洋の名があるが、これもまったくほめられてはいない(この号の選評はちばてつや)。常連になっていた朝井克己も6席に入っているが、扉は「朝井」名義なのに本文は「板橋」克己になっている。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
長谷邦夫『フロイト』
藤子不二雄「白い童話 わが分裂の花咲ける時」

名作劇場:
ちばてつや「風のように」

月例新人入選作:
芥真木「序曲」

1971年3月号

  読みきりとして村野守美「雪花」、岩本久則「カミソリの刃」、ジョージ秋山「ザーメン」、川柳敬太郎「日本大海戦否話 あせり」、勝又進「冬の虫」、高橋伸樹「伸約聖書(ノアの箱船)」、辰巳ヨシヒロ「群衆のブルース」、諸星義影(諸星大二郎)「現代間引考」。のちの諸星大二郎、諸星義影と絵本作家となる高橋伸樹のふたりの新人読み切りが掲載。青年マンガ、少年マンガ、おとなマンガの作家が混在しているのが『COM』のバランス感覚だが、このころまでにはその「すべてのマンガを押さえる」感覚が読者のニーズと合わなくなっている観がある。「ぐらこんロビー」では毎号のように「COMのあるべき姿」が議論され、この号の編集後記では5月のリニューアルが予告。作品リストは横山まさみちの二回目。これ以降はリストは掲載されていない。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
藤子不二雄「白い童話 万年青」

月例新人入選作:
かまたゆりこ「それはよくある事じゃない」(第一席)
小川茂「人工天使−全−」(第一席)

1971年4月号

  和田誠のカバーが最後。月例新人賞は総括号であるためなし。これまでの「ぐら・こん」の新人マンガ公募企画を振り返るつのだじろう、峠あかね、長谷邦夫による特別座談会「ぐら・こん総決算 新人は'70年を超えるべし!!」が掲載。読み切りは村野守美「言葉のない部屋」、矢代まさこ「エミのストールのこと」、松本零士「夜光都市のミライ」、坂口尚「フーセンばあさん」、渡辺展「シャルル・メディシス」。記事特集は秋竜山のインタビューを中心に石子順造、清水哲男、草森紳一がテキストを寄せた「現代ナンセンス考」。この特集と連動するかたちで競作特集「日本漫画風景」が組まれており、こちらには秋竜山、林静一、はらたいら、岩本久則、群境介が読み切りを寄せている。連載記事では、ニュースページ「まんが瓦版」にかわってテーマを絞った「焦点」が新設。「これがアニメーションだ!!」は辻真先から北野英明に書き手が変わり実技編に。この号から「海外まんが紹介」が「海外まんがの世界」に改題。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
藤子不二雄「白い童話 明日は日曜日そしてまた明後日も」

1971年5・6月号

  リニューアル号。手塚治虫と編集長、石井文男の連名による巻頭コメント。巻頭に宇野亜喜良、峯島正行ら豪華な執筆陣、大ボリュームで設けられた記事ページ「焦点」改め「衝点」(「まんが瓦版」も1コーナーとして復活)。読み切りとして石原春彦「無機質同盟」、ちばてつや「え〜ん」、さいとう・たかを「状況と努力」、前川かずお「巣立ち」、真壁ゆきお「樹っ怪」。「4大マンガ家競作集 庶民」として桜井昌一のまとめ原稿つきで水木しげる、西郷虹星、つげ忠男、辰巳ヨシヒロの読み切り競作企画。永島慎二の新連載予告。単発コラムも寺山修司、佐野美津男、福島健夫などやたら豪華。いっぽうでやなせたかしの連載が終了、草森紳一は前号特集への寄稿に続き単発コラムでの登場で、連載「まんが考見録」は実質3月号で終了したかたち。

連載:
手塚治虫『火の鳥』
やなせたかし『まんが封切館』
藤子不二雄「白い童話 ポルノを買いに」

月例新人入選作:
西沢大「旅へ」(準入選)
たむろ未知「なるしすと・その悲劇」(準入選)
津島修二(準入選)

(文責:小田切博)
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