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第14回 (2006.3.28) |
間部 護 さん (株式会社富士キメラ総研 取締役) |
1975年 商学部 商学科 卒業 |
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1971年4月、私の明治大学生活はスタートしました。企業会計を学びたいと商学部へ進学しましたが、そこで新たな発見に遭遇します。「マーケティング」という聞きなれないカタカナ用語が講座名や講義中にも多用されていたことでした。
当時はマーケティング理論がようやく日本に定着し始めた時期でもあり、自分自身も明確な意味をも理解出来ぬまま、ただ社会現象や産業や経済の事象が、そのまま教材になっていることに分野の新鮮さと、好奇心を大きく揺さぶられました。
ダイエーvs西友ストアの出店競争が、流通革命を唱えるマーケティングの実践例となっていたことや、マクドナルドの日本進出がファーストフードチェーンビジネスの黎明を告げていること、セブンイレブンのノウハウが日本にもいずれ導入されてくる等興味深い内容の講義を数多く受講できたことは、その後の私の仕事に大きく影響を与えるものでした。
また、入学した年の8月には、忘れもしない「ニクソンショック」がおきました。金とドル交換停止などを内容とする米国の新経済政策により世界経済が深刻な衝撃を受けた事件が発生、日本においては1$=360円の為替固定相場制が変動相場制へ移行し、円高が一気に加速し300円台に達する状況でした。後期の授業が始まると、早速どの先生方も変動相場制の功罪を講義で解説してくださり、商学部の目指す内容が、如何に経済社会に直結しているかを強く認識した出来事でもありました。
しかしながら、在学4年間のうち2年次並びに4年次は、学費値上げ問題で正月明けから学内ロックアウト措置がとられ、期末試験はいずれもレポート提出になり少々不完全燃焼の思いを残しての卒業となりました。
卒業後は縁故もあり、現在の勤務先である市場調査会社に就職しましたが、当社は消費動向の分析といった定量調査よりも、コンサルに近い企業戦略動向などの業界総合調査を得意とした調査会社であったため、学生時代の講義内容の実例に数多く触れることが出来、日常の仕事への緊張感に大きく結びつきました。
現在は、インターネットを中心とした通信ネットワーク関連分野の調査部門の責任者をしており、ドッグイヤーと呼ばれる進歩の早い業界の動向を追い続けている毎日ですが、変化の激しい時代であっても物事に取り組む基本姿勢は変わらないと思っています。取り組むべき課題に対し、旺盛な「吸収力」と「理解力」さえ身につけていれば、あとは応用だけです。在学中に、この力をしっかりと身につけ、社会に大きく貢献できる人材として切磋琢磨する姿勢が大事です。
ともあれ、不完全燃焼の想いのまま卒業して約30余年を経過しましたが、近年、新たな大学との接点を持ち始めました。それは息子が3年前に商学部に入学したことです。やはり家族に在学生がいることで大学からの情報が大変多く入ってくるようになりました。
一昨年からは周囲の方々の強いお誘いがあり、「父母会」の地区役員を引き受けさせていただき、大学を軸とした新たなコミュニケーションの場を築けましたし、また、新装となったアカデミーコモンに設けられている「リバティ・アカデミー」のビジネスプログラムを何度か受講し、最新のマーケティング理論を吸収する機会を得たり、新たな明治大学の活用方法を堪能しています。
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