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第23回 (2008.1.12) |
大川 和夫 さん (明治大学リバティ・アカデミー会員) |
1964年 商学部 商学科 卒業 |
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閑話二題
一、 学生時代の思い出
「歳月人を待たず」とはよく言ったもので、明大生だった四年間は、半世紀近くも前のことになってしまった。然し、何故か青春時代の残像はまるで昨日の出来事のような鮮明さをもって蘇ってくる。
昭和三十五年春の東京六大学野球で、明大優勝!!組長を務めていた私は優勝のかかった大一番の試合当日、級友達の要望を受け、受賞担当教授のもとに赴き、応援のためこれから神宮球場にかけつけたいので、ぜひとも休講の取り計いを願いたき旨申入れ、了承を得た。優勝当日、夜の新宿歌舞伎町での大祝勝会、後日、堤灯を持っての優勝パレード・・・
昭和三十五年は、いわゆる六十年安保の時代であった。安保闘争は、明治以降の日本の歴史上空前の大衆運動となり、国会周辺では連日「安保反対!岸を倒せ!」のシュプレヒコールがこだまし、六月十五日には全学連主流派が国会構内に突入、警察庁機動隊と激突するなか、東大生の樺木智子死亡に至った。一般学生であった私も当夜、現場の国会構内に立入っていた。まるで革命前夜のような様相を呈していたことを思い出す。
二、 読書の勧め
学生の読書離れが進んでいるとよく聞く。
私は商学部に学び、サラリーマンとして六十歳の定年まで過した。いわば実学に関わる時間が多かった訳であるが、実際には役立ない学として虚学と称される文学、思想・哲学、歴史が好きで、学生時代からそれらに関する本を自分なりに多少とも読んできた。そのため、六十歳から明大リバティ・アカデミーの公開講座を受講しているが、「学問に終りなし」との思いが強く、読書により心豊かな時間を過す時が将に至福の時と感じている。
春秋に富む若き学生諸君には、ぜひ共読書の習慣を身に付けるよう願うものであり、読書の有意義性につき、文芸評論家奥野健男氏の一文を参考までに左記しておきたい。
「読書は現実の自分以外の人生の追体験である。読書によって人は限られた自分の人生の二倍、三倍の架空の人生を生きることができる。現実の人生では知りえないものを知り、体験できる。そのことだけが読書の価値である。それは読書の最中にこそ体験しうる。ある本を読んだことによって、その人の人生が決定的に変わってしまうこともある。」
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