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第27回 (2008.5.14) |
稲井 里香 さん (株式会社時事通信社 広島支社) |
2007年 商学部 商学科 卒業 |
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● 逃げずに一歩を
「明治を背負って立つ人間になればいいじゃない」――。
入学を決めたのは、高校生の時にお世話になった塾のスタッフの一言でした。
と言っても、大学がどのようなところなのか、自分は何をしたいのか、何ができるのか、具体的なイメージはつかめないまま、学生生活がスタートしました。
1年生の時に入った人力車サークル「學生俥屋」で人力車を引きつつ、2年生になった時も「なんか、世界って広いなあ。私はこの社会、この世界に対して何ができるんだろう?」と相変わらず漠然とした疑問を持ち続けていました。
そんな2年生の4月、あるNPOとの出会いが私を変えました。「平和で、人々の可能性が最大限に活かせる社会」を理念とし「CHANGE AGENT(人々を変えていく人)」の輩出を目指す全世界2万人の学生が集まる団体でした。
私は「えいや!」で参加を決意。結局そこでの3年間の活動を通じて「教育」という分野に関心を持ち、さまざまなイベントの企画や人材育成プログラムなどを外部の方々と実行してきました。当時何より嬉しかったのは「自分のやりたいこと」を見つけることができたことです。同時に「何か想いを持ち、行動につなげる難しさ」と「それを何らかの形にできた時の喜び」を覚えました。
3年生になると、また新たな挑戦が私の中で始まりました。商学部の「水野ゼミ」で25人の学生を束ねるゼミ長に就任したことでした。産学官での連携を実践しながら地域の活性化を考えていくことをメインテーマとし、ゼミ内、学内だけにとどまらず、行政や自治体の方々とも共に考え、一つの形にしていかなければいけないという使命がありました。
そのころにはサークルもNPOも活動の第一線を退き、ゼミ長という大役を果たすために、ただただがむしゃらに邁進していました。人力車、NPO、ゼミ。この3つの活動を通じ、本当に幅広い世代の方々と共にアクションを起こしていたことを昨日のように思い出します。
就職活動では「自分の考えていることをもっと広い視野からとらえたい」という想いからマスコミ業界を志望し、報道機関である「時事通信社」から内定をもらいました。希望したのは営業職。現在は広島支社で、県や市の自治体から地元金融機関まで、さまざまな企業や団体にニュースを届ける仕事をしています。
学生時代、「何かしたいけど…」と頭では考えていながら、なかなか一歩を踏み出せない人たちが私の周りにはたくさんいました。「すごくもったいないな」と感じていました。最初は面倒臭くても、多少怖くても、自分の殻に閉じこもらず、前へ出てみることが大切です。とりあえず何かに乗っかってみることです。何もせずに適当な理由を付けて逃げ出さないで下さい。
後悔だけはしないように、皆さんなりの道を皆さんなりに見つけて、無限の可能性が広がっている大学で「がっつり生きて」下さいね。「明治を背負って立つ人間」が皆さんの中から一人でも多く出てくることを期待しています。
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