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探究選択での取り組み(数学探究、物理探究、化学探究、生物探究)

2024年03月30日

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 探究選択の取り組みを紹介する企画の最終回(第4弾)は、理数系の4科目(数学探究、物理探究、化学探究、生物探究)になります。
 2023年度高校2年生から始まった探究選択。2024年度は、高校2年生の後期と高校3年生の前期での実施になります。現高2は進級してさらに高度な取り組みを行い、新高2は前年度を超える成果を生み出していくことが期待されます。

数学探究

数学探究では、半年間の授業の中で、個人研究論文の作成と同時に「行列」という大学先取りの分野の学習を進めてきました。一方で、他の数学の授業では扱えない宿題として、「指定した位置を通る曲線でベーグルパンを切断するとどのような結果になるのか」という課題に写真データで解答を提出する試みを行いました。これは大学での位相幾何学という分野で「トーラスをメビウスバンドで切断する」内容です。各自試行錯誤を繰り返しながら、不思議な結果にたどり着きましたが、これまでの数学の学習とは全く違った経験ができたこととともに、事象を数学的に説明することの難しさを改めて学びました。

物理探究

物理探究では身のまわりの自然現象を主体的に探究する姿勢や能力を伸ばしてもらおうと考えました。最終的に自ら問いを立て実験方法を考え計画し実験やデータの解析を行いレポートにまとめてもらいました。
 まず前半は教員側が用意したテーマに沿って班ごと実験を行い実験器具の取り扱い方や測定に活用できるスマホアプリに慣れてもらいました。具体的には「摩擦力の大きさが測定方法で変わる?!」や「バンジージャンプのモデル実験」「ウェーブマシンの自作」など力学や波動分野を中心に行いました。
 その後班ごと自由に実験したいテーマを決め、主体的に計画書を作成し実験を遂行しました。「楽器の音波の解析」や「髪の毛の太さを光の回折を利用して測る」「空気抵抗は無視できるのか?」など意欲的に各テーマに臨めた様子です。

化学探究

化学探究では、実験に用いる試料を自分で用意し、その試料を用いて実験をし、実験結果からさまざまな知見をえることを目的とした活動を行いました。具体的には、二十日大根や蕪、青梗菜を種から栽培し、二十日大根は浅漬けにすることを通して、浸透圧や食品貯蔵学に関する基礎的な知見を、青梗菜は薄層クロマトグラフィー法の試料として実験に用いて、光合成色素や光合成、化学的分析技術に関する基礎的な知見をえました。また、一ヶ月に一度、学校近郊を流れる野川で河川水を採水し、その水の水質調査を行い、それぞれの値が何を意味しているのか、また水質調査を継続的に行うことにより、継続研究のあり方やデータの解析方法などを学習し、高校3年前期で報告書にまとめる足がかりとしました。
 授業後期には、サツマイモを題材にして、サツマイモを焼き芋にすることにより、食味など化学的な焼き芋の評価方法について、自ら評価方法を考えるということを行いました。化学探究を選択した生徒は、普段身近にありすぎてかえって気づかなかった事象も見方を変えれば、化学の授業で学習したことで説明できる事象が多いことを認識してくれたようです。

生物探究

 生物探究では、毎週実験を行い、実験レポートを書くことによって、顕微鏡や実験器具の取り扱いや、実験レポートの書き方に習熟することを目的に授業を進めていきました。これまで、実験経験の豊富な人が少なかったことから、高2後期では、永久プレパラートの顕微鏡観察、プレパラートの作成、ミクロメーターの使い方などの顕微鏡を用いた実験や、DNAの抽出、酵素活性の測定、薄層クロマトグラフィ、ブタ眼球の解剖など、基礎的な実験を行いました。
 実験が終わると、翌週までの期限で必ず実験レポートを作成します。実験レポートには、「目的」、「方法」、「結果」、「考察」を含む必要がありますが、なかでも重要なのが考察です。実験結果を正しく解釈するためには、たいてい自分の持っている知識だけでは不十分です。そのため、参考文献を探し、必要な部分を引用することを通し、その実験の狙いや、実験結果に対する評価を明確にしていきました。
 高校3年前期の生物探究では、土壌細菌の分離・同定、遺伝子組み換え、PCR、電気泳動など、より発展的な実験を行う予定です。

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