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藩領と江戸藩邸 ~内藤家文書の描く 磐城平・延岡・江戸~
2014年度明治大学博物館特別展
藩領と江戸藩邸 ~内藤家文書の描く磐城平・延岡・江戸~ |
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(1)実施形態
(2)趣旨 江戸時代の内藤藩と近代の内藤家の歴史を書き留めた内藤家文書は、明治大学に移管されて2013年に50年目を迎えた。さらに、2015 年には目録刊行から50年目を迎える。半世紀に及ぶこの歴史を記念し、2014年度は内藤家文書の展覧会を開催した。 内藤家は上総国佐貫(現・千葉県)、陸奥国磐城平(現・福島県)、日向国延岡(現・宮崎県)を藩領とした譜代大名であるが、江戸時代の藩は、国元だけではなく、江戸屋敷や大坂屋敷、飛地などの空間からも構成されており、その活動は藩領に限定されたものではなかった。江戸期の内藤家文書には、佐貫藩時代(元和8、1622年まで)の記録は殆ど残されておらず、磐城平藩時代(延享4、1747年まで)、延岡藩時代(延享4年以降)の記録が現在に伝わる。そして、この中には国元の統治に関する記録だけではなく、江戸藩邸の記録も含まれている。内藤家文書の概要を、大きくは国元、そして江戸藩邸、加えていくつかの派生する地点—大坂や飛び地—に関する記録群だと説明する事も可能である。この様な内藤家文書の存在形態そのものが、「藩」が複合的な要素によって成立している事を示している。 本展示会では、内藤家文書をひもといて、藩領と江戸藩邸を基点に広がる江戸時代の藩を描いた。また、各時代、各領地をつないだ内藤家文書のあり様や、廃藩置県後に行政資料としての役割を終えた内藤家文書の行方など、磐城平から始まって、明治大学に譲渡されるまでの内藤家文書の歩みをたどり、歴史を伝える長い営みのバトンを受けて、現在の内藤家文書がある事を展示で示した。 (3)展示構成 I 江戸藩邸 1、絵図でみる江戸藩邸 2、内藤家の抱屋敷 3、江戸の藩主と藩士達 安政3 年のものと考えられている『諸向地面取調書』(江戸市中にある大名や幕臣の武家屋敷調査書)によれば、内藤家は虎ノ門上屋敷1万515坪余、六本木下屋敷9361坪余、中渋谷村抱屋敷1万4005坪余を有していた。今回の展示会では初紹介となる「内藤家江戸上屋敷絵図」「江戸御上屋敷絵図」「江戸六本木屋敷絵図」「中屋敷御住居絵図」などの大型絵図をまじえ、これまで十分に紹介されていなかった内藤家の江戸屋敷について展示をおこなった。また、国元と江戸で俳諧活動を展開した藩主内藤義概(風虎)やその息子義英(露沾)に関する古文書や印章、江戸で暮らす家臣達に関する古文書などを展示した。 II 磐城平領 1、磐城平と内藤家 2、磐城平藩と海岸の風景 3、大名と藩領 内藤家は元和8(1622)年から延享4(1747)年まで陸奥国磐城平7万石を治めた。ここでは「奥州岩城平之城絵図」や「磐城七浜捕鯨絵巻 浜の巻」などの史料を展示した。「磐城七浜捕鯨絵巻 浜の巻」は、身分の高い人物が捕鯨を見覧する様子を描いた「海の巻」と一揃いで内藤家に伝来したもの。「浜の巻」「海の巻」ともに10メートルを超える巨大絵巻で、内藤家の寄贈により現在はいわき市が所蔵する。磐城平藩領の七つの浜を背景に捕鯨の様子を描いた「浜の巻」には、内藤家統治時代の磐城平の海岸線の様子が詳しく描きこまれている。 III 延岡領 1、旧領、江戸、大坂からみる延岡藩 2、充真院、江戸と延岡を旅する 延享4(1747)年の国替により、内藤家は日向国延岡へ移動する。延岡への転封が内藤家の財政に与えた影響や、延岡時代の内藤藩の年間予算にしめる江戸藩邸の経費などを史料から紹介した。また、文久3(1863)年と元治2(1865)年に江戸と国元を往復した藩主祖母充真院の絵入り旅日記から、江戸と延岡の往来の様子を示した。 IV 藩の終わりと文書 1、江戸藩邸、延岡城、文書の行方 2、旅する古文書 江戸屋敷・延岡城のその後について記した史料や、内藤藩の様子を書き記した記録類が廃藩置県後にどの様に管理されてきたのかを知りうる史料などを紹介した。また、昭和38(1963)年内藤家文書が明治大学に有償譲渡された際の記録を展示し、明治大学が内藤家文書を所蔵する事になった事情を紹介して展示の締めくくりとした。 (4)展示資料概要 (1)出展数 40点(内借用資料2点) (2)協力機関 いわき市立美術館 (5)特別展関連イベント
(6)特別展映像デジタルコンテンツの作成
2014年度特別展「藩領と江戸藩邸~内藤家文書の描く磐城平・延岡・江戸~」の映像デジタルコンテンツ(約20分)を制作。博物館ホームページにおいて公開中。 制作・著作:ユビキタス教育推進事務室・明治大学 ![]() ![]() |