商学部の現場

CASE01

「社会の壁」に立ち向かえ!

ホテルでの課題説明後、真剣に質問する学生

明治大学商学部の授業の大きな特色は、"実践"の機会が多くあること。
"実践"という現場を活かし、自分の力を試し、学ぶという機会が与えられる。

挑戦は4月から

その授業の一つに、「産学協同就業力養成講座」がある。「連合駿台会」という明治大学卒業生の組織からの紹介で、山崎製パン、京王電鉄、りそな銀行、ホテルグランドパレス等の六社が協同で行う授業。クラス別に2つの企業の課題を解決する。入学式から3週間後、大学生になりたての1年生に、ホテルグランドパレスから与えられた課題は、「ホテルグランドパレスのレストラン、カトレアのディナータイムにおいて、20~49歳の女性層を増やし、売上を増加させるメニューを考えること」であった。

レストランカトレアのディナーブッフェメニューの一つ

課題が与えられてまもなく、各班で話し合いが始まった。参加した学生一人ひとりの胸中は、「企業を驚かせるようなアイデアを考えだしてみせる」という希望に満ちていた。「若い女性が好きなものはなんだろう?」「金額設定はいくらが妥当だろうか」「知名度を上げる宣伝方法とはなんだろうか」。それぞれが考えた最良意見を持ち寄り、話合いを始めた。

では、その裏付けはなんですか

ホテルグランドパレスの課題提示から2週間後、中間発表をする会議が待ち受けていた。各班は自分たちが考えたアイデアで皆を驚かせようと期待に胸躍らせていた。企業の方々を目の前に、2週間で考案したメニューの発表がはじまった。一人ひとりの表情には、緊張と同時に期待の色が浮かんでいる。しかし、予想だにしない一言で場の空気は一転した。「では、その裏付けはなんですか。収支の概算見積りと、客数は何人伸びるという根拠を示すデータはありますか」。これが社会だ。各班がそう感じた瞬間であった。

この時からが学生たちは一変し、それぞれの班が分担して裏付けとデータを探し出す作業が続いた。ネットや図書館で探すだけでなく、実際に若い女性たちに街頭アンケートをとる班もあった。学生たちは裏付けを掴むのに必死であった。その胸にある思いは、全員同じである。「もう二度と、裏付けについて質問させない!」。

やりきった満足感

その2週間後ついに、最終発表の時。中間発表の時のような、浮かれた表情をしている人は誰一人いない。中間発表でダメだしされたところは全て修正し、裏付けを様々な手段で調べつくした。発表を終えて、企業の方から返ってきた言葉は「よくここまで調べましたね。素晴らしいです」。よくある話だ、と思うかもしれない。しかし、その言葉を聞いた班のメンバーの表情は誇らしげで、やりきった!という満足感そのもの。実際に街頭アンケートをしてまで裏付けを確保した班のリーダーである1年野口弘陽さんは、「モノの売り方を提示するだけでは、相手を説得できないことを痛感し、様々な角度から裏付けをとることに重点をおいたプレゼンテーションを考えた」と話している。

また、「社会的なマクロの流れや、消費者の隠れたニーズなどを掴むことで差別化がはかれることを学んだ」という学生もいた。彼らはこの授業での実践における失敗を通して、社会を学ぶことの重要性と、講義で学んだ知識を活かす"実践"の大切さに気づく。入学直後のこの授業が、これからの大学生活を有意義に過ごすきっかけとなるのだ。

変わる視点、広がる学び

「企業に自分たちの考えを提案する『社会と繋がる実践の活動』を通じて、まだまだ知らないことがたくさんあることに気づき、こう思いました。あ、勉強しよう!って」
普段何気なく受けていた統計学、商業総論等の授業が、一気に自分に関わりのあるものに変化してくる。授業で学んだことはアウトプットできるということを理解した学生は、商学部でこれから何を勉強し、どんな挑戦をして社会へ出て行くのか、ビジョンをもって大学生活を過ごす事ができるようになるはずだ。

Editor

挑戦し続ける、商学部生

特別テーマ実践科目の「コンサルティング実践」も実践の場の一つだ。協力企業から提示された課題について、1年間にわたり学生自らが第三者の立場で調査・課題抽出・戦略構築をし、年度末に企業に対して最終提案を行う。こういった実際のコンサルティング業務プロセスを学生のうちから実践できるのがこの授業だ。「産学協同就業力養成講座」を受講した後にこの授業を履修する学生も多い。

そこには学年もゼミもコースも異なる様々な学生が集まるため、価値観や思考の違いに驚かされ、吸収することが多いという。様々な考えを持つ班員と共に1年間活動していくチーム力、最終的な目標を常に意識しながら今やるべきことを逆算的な視点で考えることの大切さなど、実践プロセスから学べることが多いのがこの授業の醍醐味といえる。

ジョブ・インターンシップ

また、3年次には「ジョブ・インターンシップ」というマナー講義やマーケット研究、インターンシップまでを行う授業がある。タイムズデザイン、フジテレビラボLLC合同会社など受け入れ先は多岐にわたり、社内ミーティング、番組制作、社長の下での営業アシスタントなど貴重な場を体験することで、学生は社会の中で「自分」を試し、見つけていく。

Editor

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