商学部の現場

CASE02

「なごみま鮮果」で学ぶ
人間力とは?

~神田で三浦を学生がPR!~

実践店舗「なごみま鮮果」

「経営」「マネジメント」など、私たち学生が普段ふれることのできない経験を積める現場が商学部にある。それが熊澤ゼミで運営を引き受けている商学部唯一の実践店舗「なごみま鮮果」だ。東京・神田に店を構え、企画部、財務部、購買部など実際に学生が運営する8つの部署から構成される本格的な店舗経営を体験できる場である。実際に学生はどのようなことを学び成長をしているのだろうか。興味津々でお店を訪ねた。

年間1万人を超えた来客数

なごみま鮮果は、神奈川県三浦市のアンテナショップとして、「学生の力を使って地域を活性化する」目的のもとに2006年にオープンした。マグロの水揚げで有名な三浦市の特産品を販売・PRする店舗で、平日は学生が交代で店を経営し、土日祝日には様々なイベントを開催するなど、集客につながる積極的な活動を行っている。

店舗はJR神田駅から徒歩で約5分の場所に構えているものの、奥まった路地裏にあり人通りは必ずしも多くない。場所柄、客層は周辺に暮らす住民と神田駅周辺のオフィスやお店に通勤するビジネスパーソンがほとんどで、若い人の姿をあまり見かけなかった。
「あえてひっそりとした場所でいかに神田の『街おこし』に貢献できるか、学生の力が試されているのです」(広報部長3年:中原隼さん)

店舗の立地環境に恵まれない中で、「街おこし」と「地域の活性化」という大きな課題に向き合いながら、学生たちは店舗での販売活動はもとより、様々なイベントにも積極的に参加し、課題の解決につながる試行錯誤を繰り返している。

昨年は52件のイベント出店を行うなど、販売促進活動も積極的だ。その結果、店舗への来客数は出店イベントを加えると1万人を超えて過去最高を記録した。また、一連の活動が千代田区から認められ栄誉ある商工観光功労賞を受賞した。

日々の体験から学ぶ、自分の成長。

来店客に挨拶をできるようになる、気を配れるようになるなど、店舗経営を通じ直接地域の人々と交流することで、学生自身が学び、手応えを感じ、一歩一歩成長していく。実際にお店で見学していると、お客様が店の前に立ち止まればスタッフの誰かが話しかけ、他の仲間がチラシを用意して接客しているスタッフに手渡す。そんな学生たちの自主・自立的できびきびした立ち振る舞いは、まさに「人間力」の成長につながることを体現しているかのように思えた。

「お買い上げありがとうございます!」

「今年は、なごみま鮮果のキャラクターである『マグオくん』『みさきちゃん』と、三浦市の『ツナ之介』とのコラボをはじめ、丼、バーガーの調理販売など、よりイベントに力を入れていきたい」と抱負を語る広報部長の中原さんからは、仲間とともに1年間経営に参加してきたからこその確かな力強さを感じた。

2年生が「道寸祭り」の責任者に!

1年間に52件ものイベントをこなすなごみま鮮果。イベントでは責任者を学生から1人選出、その責任者を中心に運営をしていく。数あるイベントの中でも、三浦市にお邪魔して物販を行うイベント「道寸祭り」では、昨年、初めて2年生から責任者が選ばれた。

「初めて体験するイベントの責任者、初めて訪れる三浦市と、たくさんの不安がありました。それに自分の指示で大勢のスタッフが動くのでミスは許されません。当日は緊張の連続でした」(3年マーケティング部:安藤政樹さん)

昨年の道寸祭りの責任者で、2年生で初めての責任者を任された安藤さんは正に右も左もわからない状況だった。そんな中で昨年のデータから販売数、売り上げを分析して今年の仕入れ数を決め、道寸祭りのプログラムを加味しつつ仲間のスケジュールを組んだ。各部署に仕事を依頼するのも責任者の役割だったという。そんなてんやわんやの道寸祭りを経て、安藤さんは何を感じ、何を得たのだろうか。

「もちろん『責任』というものは実感しましたが、一番変わったのは『計画性』ですね。あとは周囲に対する気配りが出来るようになった。熊澤ゼミが掲げる『人間力』がついてきたと思います。先輩からは言われる前にやる『行動力』、『流れを読む力』もしっかり学びました」

現在の自分に『人間力』が身に付いていると感じますかという質問に、迷うことなく大きく頷いた安藤さん。なごみま鮮果という店舗を仲間とともに経営し、責任者としてスタッフをまとめる経験を経たからこそ、これほど多くの力を実感し、なによりも大きな自信を得ることができたのだ。

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