学生記者が行く!Mスタインタビュー2015(建築家 中村拓志さん)

先輩の大学時代

——教わりたい先生がいるということで、明治大学を選んだそうですね。



何を学ぶかの先に、どの先生から学ぶかというのが非常に重要なことなんですよね。

その先生がどんな思想や哲学を持って、何をやってきたのかということから学ぶことがすごく大きい。

僕はある先生に共感して、その先生から学びたいと思って入学したのですが、退職されてしまって、結局その先生が連れて来られた建築の先生のところで学ぶことになったんです。その人は、プロフェッサーというよりも社会の中でものを作っている人だった。世の中と対峙してつくっている姿勢から、学ぶことがたくさんありました。

——僕たち学生の中で、中村さんは『レジェンド』なんです。卒業設計で最優秀賞をとられたともお聞きしています。

それまでの在学中にアイデアコンペでいくつか入賞もしていたので、卒業設計もそのつもりで最初から最優秀賞を狙って出しました。

僕は学生の頃は反発心や反骨心の塊でしたね。だから普通は公共建築をやるところを、あえて個人住宅という小さいものを対象にしたり、規定の何倍もの枚数を張り込んで審査員の方を圧倒させたり。

こういうストーリーで勝つぞというシナリオを描いていたんです。

君にアドバイスするなら、卒計でも絶対に賞を「とり」にいった方がいい。やっぱりそういう気持ちが、就職にも生きてくるし自分の自信にもなる。

——今のお仕事にも卒業設計が生きていると感じることはありますか?

大学時代の中村さん

僕は卒計で“身体”をテーマにして、ホーキングという身体が不自由な物理学者の住宅を設計したのですが、その人の身体性を補うというよりも、身体を拡張するというポジティブな観点を入れました。

身体性というのは時代と共に更新されていくもの。人工臓器や、ステッキや眼鏡もそうですが、身体の一部を活かして拡張していく。

唯一無二の身体にこだわるのではなく、テクノロジーの新しい身体性を拡張して、引き受けながら未来をつくっていくのです。
今も建築と身体の関係性を考えながらものを作っているということに関しては、君が言ったように今も卒計は生きているのかもしれない。

それから、僕はその当時、論理で建築ができると思っていました。すべての建築は言葉で説明し尽くすことができると。

現在も僕はそういうことが得意だから、お客さんをちゃんと説得できて、仕事をもらえているという点ではメリットになっていますが、卒計を見てコメントしてくれた先生の「人っていうのは論理じゃなく、言葉にはならない部分に感動するんだよ」という言葉を今もふと思い出します。

それは僕のちょっと青二才的なところを諭してくれて、自分の建築をもっと上に引っ張り上げてくれた言葉でした。今の設計・建築家人生の糧になっていると言えます。

卒業設計というのは、それぐらい重いものなんです。

自分という人間が全てそこに投映される。卒業制作や卒業論文にしても、これから自分が社会に出て生きていくための羅針盤になると思うので、ゼミの伝統や先生の研究などに捉われずにテーマを決めてほしいと思います。

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