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明治大学広報
第570号(2006年4月1日発行)
 論壇 
 炸裂する明大女性パワー ‐短期大学閉学から新学部へ‐
 短期大学長 中村義幸
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 さる3月18日、女子部創立以来の約2万2千名余の卒業生のうちから約1千名もが出席して、盛会裏に「短期大学閉学記念のつどい」が挙行された。当日の会場内やアカコモ周辺は普段の明大らしからぬ(?)女性パワーが炸裂したかの様相を呈していた。
 ところで、本学の歴史を簡単に振り返ると次のとおりである。1929(昭和4)年専門部女子部、44(昭和19)年女子専門学校、50(昭和25)年短期大学部、55(昭和30)年短期大学。
 
 こうした本学の歴史にあって特筆すべきは、38(昭和13)年9月、法学部編入組の中田正子・久米愛・三渕嘉子の3名が司法科試験に合格し、日本最初の女性弁護士を生み出して、文字通り「暁の鐘を撞いた」ことであろう。
 
 これは、女子に禁制の大学の門戸を開放し、法律学と商業学(後に経済学)の専門知識を教授することにより、学問の機会均等、男尊女卑の旧習打破などを目指した創立者の目的が、まばゆいまでに劇的な成果となって実現を見たのであり、この後法曹の世界で「日本初」を連発した女子部の独壇場でいわば黄金時代と言えるが、この他にも次々と男性の牙城に迫り、新たな女性の道を切り開いて行った。
 
 戦後、女子に対する高等教育制度上の差別が撤廃されたが、本学についてはGHQから「日本文化史に残る学校」として存続させるよう文部省へ指示があった結果廃止を免れたと言われている。こうして、専門学校、さらに短期大学部から短期大学へと、女子部の伝統を引き継いで優秀な多数の卒業生を輩出した新たな時代が続く。
 
 ところで、制度上の差別が撤廃されても差別意識は簡単には解消されず、「女子は短大」という偏見が意識の底に残存し、女子進学率向上の受け皿としての役割がまず短大に期待されたことなどもあってごく最近まで存続できた。
 しかし、最近の法律経済問題の複雑化・専門化に対応しようにも2年の教育課程が桎梏となり、少子化による受験生減や女子の高学歴志向が高まると、次第にその存在意義を喪失してきた。しかも、女性が各学部卒業者の総代や副総代になることが一般化した今日、かつて画期的だったポジティブアクション(積極的差別是正措置)としての内部編入制度も変質してきた。
 
 そこで本学は、女子部創立時の「画時代的精神」をここで再び想起し、21世紀の情報社会の本質を解明し、豊かなコミュニケーション環境を再構築することこそが真の男女共生社会を実現する道であると洞察し、男女共学の新学部「情報コミュニケーション学部」へと脱皮した。幸いにも、社会科学系学部としては珍しく志願者・入学者の約半数が女性であり、女子部以来のDNAをしっかり引き継いだ後継者が育つことが期待されている。

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