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明治大学広報
第574号(2006年8月1日発行)
論壇
「改 革 雑 感」
副学長 針谷 敏夫
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 さる7月13・14日、各学部・大学院等から提出された2007年度長中期計画書および単年度計画書に基づく学長ヒアリングが行われた。ヒアリングに関しては形骸化したセレモニーとの意見もあるが、その場に同席したひとりとして、各機関の現場での問題点、計画書の文面からでは気づかない事柄や意見も拝聴でき、限られた時間であるがその意義は捨てがたいものであると感じる。各機関の訴えを拝聴しているとすべての事を実行していただきたい思いに駆られるが、限られた財源、資産のもとでは不可能であり、優先順位をつけざるを得ない事は残念である。

 来年度は数の上では大学入学希望者全入時代に突入し、いよいよ大学のサバイバル時代がはじまる。今後大学間競争を勝ち抜くために行わなければならない課題は、いうまでもなく大学の使命である教育・研究・社会貢献の3本柱の質を高め、活性化していくことであり、その政策がまさしく順位付けの基準であろう。GPやCOEの獲得競争に参戦し、ポイントを挙げる事も重要である。その事により評価される時代である。

 しかし、それだけであろうか? 最近某私立大学で発覚した大型研究費の不正使用事件はこれだけで大学の評価を大きく低下させるものである。ワールドカップで優勝したイタリアもサッカー界の不正疑惑で揺れている。一度落ちた格を上げることは容易ではない。得点を取る事も重要であるが、まずなんといっても失点を少なくすることが大学の評価を維持し、また品格を高めて行くことに繋がるのではないだろうか。

 現在学長の下、新学部構想や通信教育を基礎としたユビキタスカレッジ構想の具体化が進められ、また各学部・大学院等においても新しい改革案が目白押しである。これからは常に改革が求められてくる。またそれを推進しなければ生き残れない。この改革を実現し、持続可能な大学とするには教員だけの努力では不可能であり、教職員一体となった組織が不可欠である。その改革を支える事務機構において、現在新しい改革案が提示され、実行に移されようとしている。しかし、その内実は職員の削減のようである。さまざまな施策を実行するためにはその財源が必要である。職員を削減し歳出を抑えることにより新しい財源が確保されることは政策を実現する立場からは好ましいことである。しかし、ますます情報開示、説明責任が問われてくる時代において、学生サービス、教員サービスは低下させず事務の効率化を図るとのことであるが、省力化を焦りすぎて思わぬところから水が漏れ、業務の停滞、はたまた問題が起き、教育・研究の低下を招くことのないように願わずにはいられない。

(学長室専門員長、農学部教授)

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