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明治大学広報
第579号(2007年1月1日発行)
本棚
「こころの病の文化史」

池田功 著 おうふう、2000円
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社会が近代化し健康的になるにつれ、人間の狂気は社会から排除されていったといわれる。しかし狂気という、ある意味で人間の本質的な側面は文学の世界で表現され続けてきた。本書はそうした文学作品にみられる狂気も含めた心の病を、現代の問題として捉えなおしたものである。

 本書では、引きこもりや神経症、人格破綻など心の問題に起因する病をテーマとした日本の文学作品21点を取り上げている。作家のレパートリーは、夏目漱石や島崎藤村といった古典作家から、村上春樹、田口ランディなどの新鋭作家まで幅広い。それぞれの作品においては作家紹介、作品のあらすじや解説、その作品で取り上げられた心の病についての解説もあり、当該の病に関する理解に加え、各作家の人間像や人生についての理解が深まるよう工夫されている。

 本書の全体に目を通すもよし、さらにオリジナルの作品に読み進むもよし。著者が意図するように、本書をきっかけとして心の病を描いた作品にふれることによって、そこから生きる力を得る人も多いのではないだろうか。

高峰修・政治経済学部講師(著者は政治経済学部教授)



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