第581号(2007年3月1日発行)
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日本文化の象徴のひとつに茶道があるが、明大はここにおいても卓越した人材を出していることはあまり知られていない。
例えば早大は原三渓によって、慶大は高橋箒庵や朝吹柴庵によってその大学の茶の特色を語ることができる。両校が実業人によって代表されるならば、明大の茶は求道性に特色が求められよう。
伊藤左千夫は唯真閣という茶室で質素な生活を送りつつ生涯短歌と茶道を追い続けた。「茶は趣味の綜合の活きた技芸人を待って現われる。記述も議論も無用」と。
冬の夜のさ夜静まりて釜の煮えさやさや鳴るに心とまりぬ。辿りついた境地である。
知られざるは田中仙しょう()。明治期他に先駆け茶道の近代化を唱えた。秘伝公開を図り、おそらく明治法律学校の講義録にヒントを得たであろう「茶道講義録」を出版、また、数々の茶道古典を孔版で翻刻紹介した。
この人の凄さは戦災に焼け出され、防空壕に起居して、持論の臍下丹田に血をためつつ孜孜として、古典「南方録」を説き続けたことにある。以て、2008年スタートの国際日本学部(仮称)への伝承としたい。
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