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明治大学広報
第581号(2007年3月1日発行)
論壇
実習費(学部教育振興費)の戦略的使用法
政治経済学部長 飯田 和人
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 明治大学は、類似した社会科学系の諸学部が互いに競い合い切磋琢磨しながら発展してきたという一面をもつ。それはまた本学の競争力の源泉のひとつでもある。似たような学部が他との差異性を際だたせようと、カリキュラム改革や入試改革等でしのぎを削る。そのおかげで、明治大学は厳しい大学間競争の中でも一定の評価水準を維持してこられたのである。

 当然のことながら、今後も本学はこの競争力の源泉を失うことがあってはならない。むしろ、これを維持し、より良い方向へと導く戦略的思考が求められている。

 こうした発想から導入されたのが実習費(政治経済学部では学部教育振興費と呼ぶ)であった。これは各学部の独自予算であり、本学部では従来の学部教育とは異なる新たな試みにだけこれを用いている。

 たとえば、学生の勉学意欲を鼓舞するための多様な顕彰制度、新しい教育システムの試験的な導入や授業改善のための実験的な試み、国際キャリア入門講座など各種の特別講座の開設、学生の職業観を涵養するためのジョブ・インターンシップ制、言語能力強化のためのTOEICなど各種検定試験の活用等々である(その詳細については、パンフレットを作成し、受験生、在学生、父母等に配布している)。

 従来、こうした学部独自の予算を獲得するには、他学部との兼ね合いを考慮しながら、かなり長い準備期間と理事会との交渉期間を必要とした。大学間競争が激化する中、これは改革実施の機動性、迅速性という点で大いに問題があった。これを克服するには、一定限度内での学部独自の教育活動予算を確保することが必要とされた。実習費は、こうした従来の学部予算のあり方を変え、各学部に現場主義の長所を十二分に発揮させると同時に、その改革スピードをさらに高める効果を与えたのである。

 ある学部で成功した改革には、直ちに他の学部も追従する。それどころか、全学的制度に格上げされ独自予算が付けられることもある。学部横断的な全学版インターンシップ制やボランティア・センターの設置などはそうした例である。これが互いに補完関係にあればよいが、さもなければ学部は当該制度をスクラップするか、別のメリットをもつ制度に進化させていかなければならない。むろん、それは望むところでもある。この予算の使命と宿命は、こうした不断のフロンティアの開拓と、それを通しての学部教育の弛まざる革新にこそおかれているからである。

 ただし、実習費という呼称には常々違和感をもっている。この予算は、上述したように各学部独自の教育改革を実現するために運用されており、やはりそれに相応しい名称が与えられてしかるべきだと思うからである。



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