第581号(2007年3月1日発行)
《リバティ・アカデミー特集》
ビジネス学習は個人でとどめておいてはもったいない
商学部教授 大友 純 |
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受講生の方々は、個人的な学習意欲で申し込まれる方が多い。そして講座から得られた学習成果の大きさは、寄せられたアンケートにも、また繰返し受講や複数講座受講生の多さからも窺えるところです。
しかし担当講師としていつも不安になるのは、みなさん方が仕事に戻られて、学ばれた諸理論を組織成果にうまく結びつけられたのか、すなわち経営者の方であれ社員の方であれ、学んだ理屈を組織内で披露したり、理論に基づいた新製品や組織革新の提案をしたときに、“社長は理屈っぽくなった”とか同僚や上司から“なまいきだ”、“理論と現実は違うんだ”と言われ、せっかくの学習成果が現場で反映されていないのではないかということです。
まして誰も経験したことのない、しかし未来の成果を確実にする新提案が頼るべきは理論に求めるしかないのに。結局は他社の成功事例の二番煎じ的アイディアしか注目されない。
意外とビジネスの現場ではそうした“理論的であること”が嫌われているのではないでしょうか。またそうした組織はどれだけのチャンスを逃していることでしょうか。
この状況を克服する方法はひとつしかないように思います。それは経営者から従業員まで同じ理屈を学び、同じ認識の土台の上で議論をするということです。そうして組織的意思決定を迅速にし、統一された思考の下に各活動の整合的で効果的な動きを目指す。これこそが社内研修という組織だった学習の最大の効果ではないでしょうか。現実にそうした企業がこのアカデミーから出てきています。
近年、顧客を裏切る多くの企業の不祥事を聞くたびに、組織だった教育や学習の重要性を認識せざるを得ない今日この頃なのです。ビジネス講座の学習成果を個人的にとどめておくだけではもったいないのです。
(リバティ・アカデミービジネス専門部会長)
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