明治大学は５月22日、マレーシア首相のアブドゥラ・アフマッド・バダウィ氏に名誉博士の学位を贈呈した。明治大学名誉博士号の贈呈は２００５年10月の申芳雄氏（シン・バンウーン、韓国・国立忠北大学校総長）に続き22人目となる。

　明治大学の名誉博士の学位は、「学問、芸術その他人類のために顕著な貢献をした者」に贈られるもので、これまで三木武夫、村山富市両首相や前マレーシア首相のマハティール・モハマド氏にも贈呈されている（明大名誉博士学位記一覧は別掲）。

　今回のアブドゥラ首相への名誉博士学位の贈呈は、首相の国際的な学術・文化交流促進への多大な貢献を顕彰し、また、日本とマレーシア両国の友好親善のための真摯な取組みとして、マレーシア全体に対する明大からの栄誉の贈呈の意義を持ち得るものである。

　アブドゥラ首相は、マラヤ大学卒業と同時に国家公務員となり、１９７８年から政界に進出。首相府相（東方政策担当、外務相など主要閣僚を歴任後、２００３年首相に就任。日本とマレーシアの友好関係の醸成に努めるなど、視線は常に世界にも向けられており、国内にとどまらず海外からも傑出した政治家として高く評価されている。

　名誉博士学位贈呈式はリバティタワー１階リバティホールで開催され、マレーシア政府、大使館関係者をはじめ、学生、教職員のほか、他大学のマレーシア人留学生などが列席。会場は立ち見がでるほどの盛況となった。はじめに納谷�笏�学長が顕彰の言葉として、アブドゥラ首相に明大の名を冠した名誉博士の学位を贈呈できる喜びを表明し、首相のこれまでの功績や明大とマレーシア政府の交流関係を紹介。「今日、日本とマレーシアは、アジア圏の経済的・政治的結束の中心となる国家の役割を担う立場にある。これを機に、明大とマレーシアとの連帯が一層強化され、またそのことを通して、相互理解と親善が促進されることを祈念する」と語った。

　続いて納谷学長から名誉博士学位記と学位章（メダル）が、長吉泉理事長から記念品が贈られた後、アブドゥラ首相が受章の挨拶と記念講演を行い、「名誉博士の学位は私個人に対する授与というよりもマレーシア国全体に対するもの」と感謝し、「このことがきっかけに両国の絆が深まることを期待する」と挨拶。

　１９８０年代に『ルック・イースト政策（東方政策）』の担当者だったアブドゥラ首相は、当時からマレーシアの若者が日本でスキルアップすることを切望。それが現実のものとなり、「日本で学んだ多くの若者が今、マレーシアの有能な市民として公共・民間に関わらず、さまざまな分野で活躍している」と語り、『ルック・イースト政策』に理解を示し、マレーシアの若者に広く門戸を開放してきた明大に対し深い感謝の意を述べた。

　そして、「現代の世界平和を脅かすさまざまな紛争は、宗教的価値の不理解が要因になっている」として相互理解の重要性を説き、自身が推進する『穏健イスラム主義』は宗教を生き方として捉え、平和を愛することとして、これを国内外に提唱していることに触れた。さらに宗教的に中立な立場であり、国連でも重要な役割を担う日本に対し、「さらに大きな役割を期待する」と結んだ。

　会場のマレーシア人留学生たちは「首相は『優しい人』と言われ、とても人気のある政治家。今回首相の人柄に直接触れることができて、とても感激した。早速マレーシアの家族に報告したい」と語るなど、首相は大きな喝采を受けながら明治大学を後にした。

明治大学名誉博士学位記一覧
番　号	発行日	氏　名	職　業
第１号	1971.04.16	長野　国助	日本弁護士連合会会長
第２号	1974.02.18	鄭　　商煕	大韓民国・明治大学韓国同窓会会長
第３号	1975.10.13	三木　武夫	内閣総理大臣
第４号	1976.03.15	王　　任遠	台湾・中国司法行政部長
第５号	1978.07.25	古賀　政男	作曲家
第６号	1979.04.17	Ｌ．Ｓ．サンゴール	セネガル共和国大統領
第７号	1980.05.26	Ｅ．Ｏ．ライシャワー	駐日アメリカ大使
第８号	1982.04.12	馬　　樹禮	中華民国亜東関係協会駐日代表
第９号	1984.06.11	植村　直己	冒険家
第10号	1988.06.30	アブドゥ・ディウフ	セネガル共和国大統領
第11号	1990.07.20	Ｒ．ベルンハルト	ハイデルベルグ大学法学部教授
第12号	1994.09.24	村山　富市	内閣総理大臣
第13号	1995.09.21	ジャック・ロベール	パリ第２大学名誉教授・名誉学長
第14号	1995.11.01	Ｒ．Ｐ．ドーア	ロンドン大学経済パフォーマンス研究所長
第15号	1996.11.14	Ｂ．Ｎ．キャンベル	アメリカ合衆国連邦上院議員
第16号	1996.11.29	ジャン・クレティエン	カナダ首相
第17号	1997.11.14	レフ・ワレサ	ポーランド共和国大統領
第18号	2001.06.07	マハティール・モハマド	マレーシア首相
第19号	2003.10.23	ルイ・シュヴァイツァー	ルノー会長兼ＣＥＯ
第20号	2004.03.06	小柴　昌俊	東京大学名誉教授
第21号	2005.10.28	申　　芳雄	大韓民国・国立忠北大学校総長
第22号	2007.05.22	アブドゥラ・アフマッド・バダウィ	マレーシア首相

「マレーシアのアブドゥラ・アフマッド・バダウィ首相に
　　明治大学名誉博士の学位を贈呈」
　（Photo　Newsのページへ　※動画あり）

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