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明治大学広報
第586号(2007年8月1日発行)
論壇
大学博物館学芸員の望ましいあり方
博物館長 杉原 重夫
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 開館して4年目を迎えた明治大学博物館は、昨年度、入館者が5万4千人を越え、本年5月には、開館後の入館者が通算15万人に達した。このような入館者の増加は、話題性に富む特別展がマスコミ等によって紹介されるなど、博物館の存在が学芸員の努力によって学内外に次第に周知されるようになったことが要因と考えられる。

 本学博物館の運営を担っているのは、博物館長のほか副館長1名、事務長1名、事務長補佐1名、学芸員4名(考古部門2名、商品部門1名、刑事部門1名)と長野県長和町にある博物館分館(黒耀石研究センター)の特別嘱託1名等計15名である。なお、日本全国には大学、短期大学、専門学校が設立・運営する博物館の総数は260余館あるが、その所属部署、運営形態、職員(学芸員)組織はさまざまで、専任教員が博物館運営を兼務し、任期制の助手や嘱託職員が運営にあたっているところもある。

 その中で、本学のように専門的職員として学芸員を配置して教育・研究の向上に博物館を活用してきた点は、本学の教育研究体制における特色の一つであり、すでに大学基準協会の相互評価の認定においても評価されたところである。本学の学芸員は、一般事務職として採用されているが、学長を委嘱者とする委嘱状を受けて、対外・対内的に学芸員の呼称使用が認められて、博物館の事業に関する専門的事項をつかさどることになっている。しかし職制上は専門的職員としては認知されていないため、調査研究を行うことについては制度上の保障を欠いている。

 博物館は大学が行う研究活動を紹介する機能を持つ。大学間の生き残り競争が激化している昨今、教員はもっと博物館を研究活動の場として活用し、学芸員も調査研究活動の一員として積極的に参加するようにしたらどうであろうか。本学博物館は、分館として黒耀石研究センターという個性ある施設を保有し、来年度には文学部に所属する文化財研究施設も博物館に移管される予定である。さらには本学の教職員が学芸員とともに博物館を利用した研究活動を行えるように研究調査員を置く制度を発足した。このことによって博物館に課せられた資料収集、整理、保存、展示、調査研究、教育普及といった学芸員としての通常業務のほか、学術フロンティア推進事業による大型研究、科学研究費や研究所研究費による共同研究について、分担者または協力者として勤務時間内にも研究活動を行える体制を整えられるよう、学内のコンセンサスを得たい。

 博物館にとって各種GP等外部資金の導入も大きな課題であるが、公募事業の申請にはまず学芸員の各学部の教員と協力した体制作りが必要である。この度の事務機構の改革により、博物館グループはエクステンショングループとともに社会連携事務室の傘下に組織替えが行われた。これによって学芸員の専門職としての立場が不安定になることがないよう願いたい。

(文学部教授)




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