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明治大学広報
第588号(2007年10月1日発行)
本棚
「木暮実千代 知られざるその素顔」
黒川 鍾信 著 (NHK出版、1900円)
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 本書の主人公・木暮実千代は昭和12年に名門ミッションスクールを卒業すると明大女子部に入学を希望するが、願書受付日を過ぎていたため日大芸術学部に出願、全国に数人しかいない共学校で学ぶ女子大生になる。学内の劇団に所属し、翌年、野外劇で弁才天女を演じ、松竹大船にスカウトされる。

 1年もしないうちに田中絹代や高峰三枝子と並んで松竹を代表するスターになる。が、結婚を選んで満洲へ。夫君は、満洲新聞理事長で満映理事の従兄。

 戦後、引揚げるとすぐに銀幕に戻って、日本映画の黄金時代を支えるスターとして活躍する。この間に主演出演した映画は『酔いどれ天使』『雪夫人絵図』など100本を超える。

 後年は尾上松緑、花柳章太郎、中村勘三郎などの相手役で舞台に転向するが、430ページを超える本書で著者が最も力を入れているのは、映画である。それもそのはず、若き日の著者は映画監督を目指していた。それと主人公の甥である。身内にしか入手できない豊富な資料を駆使して映画史や監督論では知ることのできない側面を見事に描き出している。

金子邦彦・情報コミュニケーション学部教授
(著者は情報コミュニケーション学部教授)

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