第589号(2007年11月1日発行)
論壇
教育・学術交流の地球ネットワークのために
法学部長 土屋 恵一郎 |
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法学部は、昨年よりオーストラリアの西シドニー大学で、「サマーロースクール」を始めた。夏の3週間、といってもオーストラリアは秋のような気候で18度の温度だから、今年の日本の熱帯のような天候とはまったく異なる。実に過ごしやすい。大学の夏期海外研修というと語学研修が主であるが、この西シドニー大学での「サマーロースクール」は、午前中に英語の学習、午後は英語で法律についての講義とゼミナールを行い、それ以外にも国会訪問や最高裁判所判事との面会などが組まれている。この時期オーストラリアの大学は学期中なのだが、西シドニー大学は明治大学法学部のための特別なコースとしてこの「サマーロースクール」を開いてくれたのだ。
今年は23名の学生が参加し、なかには将来司法試験を受けようとしている者もいて、国際性をもった法律家を生み出す大きな契機になってくれるにちがいない。詳細は2面および法学部ホームページ(http://www.meiji.ac.jp/hogaku/)に記載されているので、それを読んでいただきたい。
私は、この「サマーロースクール」のシステムを、将来において、中国、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカにおいても開催して、その国の言葉で法について考える機会を学生にぜひあたえたいと思う。それが実現すれば、学部での語学教育と法律の専門教育とが海外での教育と連動して、教育の地球ネットワークができる。
こうした教育の地球ネットワークを支えるためには、教員間の学術交流が必要になる。そのための施設の建設は急がれる。海外から招請する教員のための宿舎や研究室が必要である。また明治大学が日本で「サマースクール」をそれぞれの学部が行うことも考えられる。西シドニー大学の場合は、ホームステイで対応しているが、明治大学においても、ホームステイのネットワークが必要となるだろう。
国際交流センターの強化は明治大学にとって必須の課題となっている。残念ながら、事務機構の改編にともなって職員は減員され、むしろ弱体化している。大学はいかなる世代にとっても青春の場所である。学生たちに希望が約束されていなければならない。そのために教員も職員も努力しているのだ。25歳の時の詩集で詩人大岡信はこう歌った。
/ああ、約束は果されてあらねばならぬ、いつの日か。空を映す唇の上、合唱する少年たちの未来の空に。手をかしたまえ、未知の友。きみもまた森の組織を内に感じ、空にむかって拡がろうとねがうなら/
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