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明治大学広報
第590号(2007年12月1日発行)
学長賞受賞スピーチ
「コントロールできない世界への挑戦」

経営学部2年
韓 星華(ハン・セイカ、中国)
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 いきなりですが皆さんに質問をしようと思います! みなさんはヨドバシカメラやビックカメラなどの電気屋に行って、外国人と日本人のスタッフがいたらどちらに声をかけますか? 日本人だと答えたならば、それは外国人の日本語が下手そうだからという理由以外にほかには何かないでしょうか。

 私は電気屋でソニーのパソコン販売のアルバイトをしています。ずっと昔からあこがれていたソニーでアルバイトができることが何よりもうれしかったです。正式に仕事に就くまで研修もあり、そのときは一生懸命商品の知識を頭の中に入れてきました。しかしいざ現場に立ち、仕事に慣れてきたころ、私はあることに気が付きました。来店されるお客さんの中には、私がちょっとしたおかしい日本語を使うと、チラッと名札を見る人がいます。そして外国人だと分かると、商品に不安を持ち始める人や、接客を日本人に代わらせる人や、ひどい場合だと「これ中国製なの?」と聞いてくる人もいました。最初は仕事に自信がない自分の緊張した態度や、商品知識の不足のせいかと思っていましたが、どうやらそればかりじゃないようです。これは無意識的な偏見なのでしょうか。落ち込んだこともあって、偏見に対してあきらめたこともあります。そして、それは私の力ではコントロールできないことだと思いました。しかし、それからどんどん接客が慣れていくうちに、話し方には日本人に受け入れられる喋り方と、気を悪くさせるような喋り方があると気付いてきました。同じ接客の方法で中国人のお客さんには買ってもらえるけど、日本人のお客さんには喜んでもらえない! やはりこれは文化の違いを表しているのでしょうか。学校の授業で先生がおっしゃっていた「中国の場合は日本とまた経営方式が全く違ってきます」という言葉がなぜか分かったような気がしてきました。

 世の中にはコントロールできる世界とできない世界があるとしたら、偏見はコントロールできない世界に限りなく近いでしょう。ただ、私は偏見を持っている人の中には明確な根拠がない人がほとんどだと感じています。そういった偏見ならば大した問題じゃないと思います。それはただのコミュニケーションの不足であり、お互いの理解が足りないだけだと思います。日本に留学して中国と日本の両国の文化を体験できた私はそう信じています。生まれつきの悪い人はいないのです。その分厚い壁を崩して行くためには単純な日本語能力だけではなく、もっと日本の文化を理解し、空気を読める外国人になる必要があると思います。上手なコミュニケーションをとるためには相手が話すニュアンスによって、どう自分が反応してコメントすべきかというのは留学に来ている我々だから勉強できることだと私は思います。自分に与えられた貴重な留学機会を勉強と言語だけじゃなく、さらにこれからはコントロールできない世界へも挑戦していきたいと思います。


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