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明治大学広報
第590号(2007年12月1日発行)
本棚
「羊のたわごと 会衆席からのメッセージ」
堀越 喜晴 著 (サンパウロ、1500円)
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 1994年から2001年にかけて『聖公会新聞』に連載されたエッセイをまとめたのが本書である。それを貫く主柱は著者のキリスト教信仰であるが、冒頭でC・S・ルイス(『ナルニア国物語』の作者)が「メエー!」と鳴く声を響かせ、「大学教員として…視覚障害者として…一信徒として、感じたままを素直に述べ」たいという、ルイス同様に「権威主義」とは無縁の姿勢も一貫している。従って、信仰を持たない私も違和感なく読んだが、日々の生き方を見つめ直させられた。信仰の有無に関係なく、広く開かれた本である。

 主題の間口も広い。著者は日々の何気ない学生たちとのやりとりや電車の中で耳に挟んだ会話、たまたま手にした週刊誌の記事などをきっかけに、自らの信仰・教育実践のあり方を真摯に問い直す。権威主義の陥穽を軽やかに越え、「新たに生まれ」(ヨハネによる福音書3・3)るための問い直しとして。それは、言語学者としての言葉の「問い直し」にも繋がる。例えば、日本語の助詞の世界では、ダーウィンもびっくり! の「藻から蛾への進化」? が進行中らしい。「堀越ワールド」へようこそ!

宇野雅章・文学部講師
(著者は政治経済学部講師)


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