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明治大学広報
第591号(2008年1月1日発行)
2008年4月開設新学部・新研究科・新専攻が開設記念シンポジウム

国際日本学部
いま、日本のどこがすごいのか
学部長予定者 蟹瀬 誠一
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 今年4月に新たに開設される国際日本学部、大学院教養デザイン研究科および理工学研究科新領域創造専攻が昨年の11月と12月、それぞれ開設を記念するシンポジウムと講演会を開催しました。本号では、その内容について担当教員が報告します。

 国際日本学部開設記念シンポジウム(11月16日、アカデミホール)のテーマは思い切って「いま、日本のどこがすごいのか」にしました。そして基調講演は元外務大臣の麻生太郎氏にお願いしました。理由は麻生氏が自他共に認める漫画好きであること、そして「とてつもない日本」という新書を出版されているからです。期待通り面白い内容でした。とくに頑固なまでに自国文化を守るフランス人が「マンガ」をフランス語として認めているという指摘は興味深いものでした。

 世界からお招きしたパネリストの方々には各国の日本研究の現状を報告していただきました。考えてみれば日本は不可思議国です。GDPは世界第2位で世界一の長寿国なのに、自殺率は先進国でトップ。人口千人あたりの医師の数はわずか2人です。調査によれば、日本人に生まれたことを誇りに思っている人は54%で世界57位だそうです。麻生氏に情けない現状だと指摘したら、「何とかしなければ」という返事が返ってきました。

 かつて日本人は外国の知識人から尊敬されていました。フランシスコ・ザビエルは書簡の中で「この国民は、私が遭遇した国民の中では、一番傑出している」と記していますし、画家のゴッホも「日本の芸術を研究すれば誰でももっと陽気にもっと幸福にならずにはいられないはずだ」と日本人が自然と共生しながら生活をしている姿に驚嘆しています。

 80年代に入ると、経済の強さから「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」と羨望の的となったこともありました。しかし程なくして力の源泉がアンフェアな「談合力」であったことが露呈しました。富だけで尊敬は得られません。文化が必要なのです。

 最近では、アニメやマンガに代表される「クール・ジャパン」に関心が集まっています。マンガの歴史をさかのぼれば、京都の高山寺に伝わる絵巻で国宝の「鳥獣人物戯画絵巻」にたどりつきます。まさに文化なのです。大切なことは日本のことを知り、それを世界に発信できる能力を身につけることです。国際日本学部ではそんな能力を持った若者を育てていきます。

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国際日本学部への期待を語る麻生氏

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