明治大学
English Korea Chinese Chinese 交通アクセス お問い合わせ サイトマップ
明治大学TOP > 明治大学広報 > 第591号(2008年1月1日発行)
明治大学広報
第591号(2008年1月1日発行)
本棚
「文化としての都市空間」
市川 宏雄 著  (千倉書房、2100円)
明治大学広報TOPへ
  欧米の街を訪ねた時に感ずる独特の都市空間と様式美。日本人ならば到底発想しえないロジカルで対称的な形式。それはある時は絶望感となり圧倒し、またある時は一種の嫌悪感となって表出する。本書は、それが何故なのかを、文化人類学的接近方法により一つ一つ紐解いてゆく。東京の街づくりが、日本文化への卑下と欧米文化への憧憬にあり、曖昧で無秩序的に見える街が、日本人的な価値や美意識によって、自己組織化的に発展することが説明される。一方、理路整然とした西洋の諸都市が、いかに成立・形成・発展したのか、また、その中でもアングロサクソン、ラテン、ゲルマンによっていかに異なるのかが、豊富な図と写真を用いて余すことなく語られる。驚くのは、その歴史的洞察力の深さである。歴史書を読んでいるといってもよい。著者は、我が国を代表する都市研究者として、長年に亘り世界各国を調査し提言してきた。それだけに読む者に説得力を与える。これは都市文化論を越えた都市文明論と言っても過言ではない。我々の都市観を変える一冊である。本書を片手に諸都市を探訪することをお薦めする。

牛丸元・経営学部教授
(著者はガバナンス研究科長・政治経済学部教授)

前のページに戻る


ページ先頭へ

© Meiji University,All rights reserved.