明治大学付属明治高等学校および同明治中学校は、９５年にわたり神田駿河台および猿楽町の地で歴史と伝統を誇る私学の雄として、有為な人材を育てることを目標に数多くの男子生徒を世に送りだしてきたが、２００８年４月、調布の地に移転、男女共学校として新たなスタートを切ることになった。そこで、この３月に猿楽町での最後の卒業式を迎えたこともあり、これまでの明高中の沿革を紹介する。 　

　明治高等学校・中学校の歴史は、明治大学が創立３０周年を迎えた１９１１（明治４４）年９月、明治大学校長である岸本辰雄により創立され、翌１２年４月、旧制明治中学校として神田駿河台の明治大学構内に設立されたことからはじまる。現在のリバティタワー右側あたりに木造３階建ての校舎が建てられ、３学級１５０人という教育優先の小規模校であった。その後、２２（大正１１）年３月、現在の猿楽町に鉄筋コンクリート４階建ての新校舎を建設して移転した。 　

　初代校長は、明治・大正・昭和の三代にわたって法曹界・政界・学界で活躍した法学博士・鵜澤総明（うざわ・ふさあき）が務め、４５（昭和２０）年１０月、極東軍事裁判弁護団団長となり校長を辞任するまで３０余年、「天下の明治」の気概をもって徹底した少数英才教育を貫いてきた。この間、度重なる火災、関東大震災、昭和初期の経済恐慌、空襲、敗戦など最も困難な時代を乗り越えてきた。 　

　戦後は、学制改革による４７年の新制明治中学校、４８年の新制明治高等学校の発足に伴い、推薦制度による大学までの一貫教育の方針を確立して、明治大学が同一法人のもとに設置する唯一の付属校として今日に至っている。この間、さまざまな教育制度の改変等により、時代にマッチした教育環境の整備に積極的に取り組み、７４年には斬新な設備の視聴覚教室やゼミナール室、体育館（講堂）、格技室、生徒ホールなどを含む現２号館・４号館校舎の竣工、９２（平成４）年には校庭の人口芝への改修等を行ってきた。 　

　しかし、かねてから校地が狭隘であったことに加えて、近年の校舎の老朽化等により、現校地・校舎での付属校の特性を活かした教育展開が困難な状況となっていたこともあり、多岐にわたる教育改革を含めた校地移転が検討されてきたところであった。その結果、女子生徒への教育的ニーズの高まり等により、女性と男性がお互いの価値観を認め合いながら協力し合って生きていくことの意義を中学・高校の多感な時期に学ぶことは大変重要なことであるとして男女共学を決定し、調布校地での新たな展開を図ることになった。

◆年表　

１９１１ （明治４４）年	９月	明治中学校設立認可願提出
１９１２ （明治４５）年	１月	明治中学校設立認可。神田駿河台の明治大学校長・岸本辰雄構内に木造３階建て校舎を建築
	４月	明治中学校開校。初代校長に明治大学理事・教授鵜澤聰明就任
１９１７ （大正６）年	３月	最初の卒業生（７２名）
１９２２ （大正１１）年	３月	神田猿楽町に鉄筋コンクリート４階建て新校舎落成
１９３６ （昭和１１）年	２月	２号館校舎落成
１９４５ （昭和２０）年	４月	大空襲により学校の周辺全滅
	８月	終戦。校舎は被害なく残る
	１０月	鵜澤校長、極東軍事裁判弁護団団長となり校長辞任
１９４６ （昭和２１）年	３月	大橋留治教頭、校長就任
１９４７ （昭和２２）年	４月	学制改革により新制明治中学校発足（４年生、５年生は旧制のまま存置）。木造校舎落成
１９４８ （昭和２３）年	４月	学制改革により新制明治高等学校発足
１９４９ （昭和２４）年	４月	校地を拡張して４号館鉄筋３階建て校舎落成
１９５９ （昭和３４）年	４月	鉄筋４階建て新校舎落成【現３号館校舎】
１９６２ （昭和３７）年	３月	鉄筋４階建て新校舎落成【現１号館校舎】
１９６６ （昭和４１）年	９月	英語科ＬＬ教室完成
１９７０ （昭和４５）年	１０月	長野県上高井郡高山山田牧場内に南志賀寮完成
１９７４ （昭和４９）年	１２月	新２号館校舎、新４号館校舎落成【現２号館校舎、４号館校舎】
１９８２ （昭和５７）年	１月	創立７０周年記念式典。初代校長鵜澤聰明胸像建立
１９９２ （平成４）年	９月	校庭改修工事終了
２００２ （平成１４）年	１１月	創立９０周年記念式典

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