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明治大学広報
第598号(2008年8月1日発行)
論壇
「大学の根幹である研究基盤の充実に向けて」
学務担当常勤理事 米山 勝美
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 今年7月の北海道洞爺湖サミットでは温暖化、石油、食料の問題が大きくクローズアップされた。これらの問題はいずれも密接に絡み合っている地球規模の課題であるが、国益の根幹である人間の生存や産業活動の基盤にかかわるため各国の利害が絡み、解決は容易ではない。また、グローバル化した経済や金融が危機を増幅させている点も問題である。とはいえ、政治の注目が人類生存の根幹となる環境、エネルギー、食料の問題に集められたことは歴史的な出来事である。

 さて、大学存立の根幹となる要因は言うまでもなく、研究と教育である。大学が知の創造を探求する場である限り、研究と教育の両輪がバランスよく展開されることが大切である。とくに、世界のトップ大学は甚大な資金をもとに優秀な学生を集め、かつ著名な教授陣を配し、教育力はもちろんのこと研究力においても突出している。文部科学省は教育手法の改善、地域貢献、大型研究助成など競争的資金を重点的あるいは拠点的に配分しつつ、大学の特色を打ち出すことを求めている。言い換えれば、研究基盤の充実した水準の高い研究教育型大学とそうでない地域教育型大学に区別化されることである。この点において、日本の多くの大学はいま岐路に立たされている。主要な国立大学法人はすでに研究を主体とした大学院大学に衣替えし、大学院の下に学部教育を行う方向を目指している。もちろん、私立大学においても同様な区別化が図られようとしている。

 ところで、明治大学の現状はどうであろうか。教育面では他の有名私立大学に決して劣っているとは思えないが、残念ながら研究面の整備では大変に遅れているのが現状である。大学院学生の研究環境が貧弱であることはもとより、大型研究費を獲得しても研究を展開するための研究スペースに事欠く次第である。研究環境改善に向けての一つの光明は、今年度のグローバルCOEプログラムの獲得である。これを一つの契機として、本学の研究基盤の充実に大きな弾みをつけることが必要であろう。研究の推進には研究施設の拡充、研究支援組織の強化、研究人材の雇用形態の改正など喫緊の解決すべき課題がある。いずれにしても、本学における研究の推進を図るためには、早急にラボタワーあるいはレンタルラボ的な研究施設を設立する必要があるとともに、研究をバックアップするための研究推進部のような事務組織の確立が不可欠である。

 明治大学が世界のトップスクールと肩を並べるためには、大学院教育も含めて研究と教育の両輪をしっかりと歩調を合わせて回転させる仕組みづくりが重要であると考える。

(農学部教授)



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