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明治大学広報
第601号(2008年11月1日発行)
論壇
「トップスクール目指し“前へ”」
理事 小林 一光
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 日本の大学を取り巻く環境は少子化による全入学時代を迎え、競争原理の導入等の改革を求められる激しく厳しい時代に突入している。

 明治大学は、2004年に50年ぶりの新学部となる情報コミュニケーション学部を開設し、本年、国際日本学部も設立され、世界に開かれた大学を目指し、スタートした。

 ここ数年来組織面、施設面の改革も、厳しい財務状況の中で課題はあるものの着々と進められている。都心型大学としての地の利を生かしたリバティタワー、アカデミーコモンが竣工し、教育施設および生涯学習施設の充実がはかられ、全学部統一入試の実施等による改革が行われた。全国で2番目の志願者数を集めることができたのも改革の方向が正しい一つの証しだと思う。

 大学の経営は厳しい環境下にあるといっても、一般の企業経営に比較すると、まだまだ恵まれた環境にある。

 今までの改革は骨組みの改革であったが、トップスクールを目指すための2009年度「教育・研究年度計画書」の策定と推進の学長方針を実現するには、さらなる教職員の意識改革と協力が不可欠だ。親方日の丸の組織は大方非効率だ。

 明治大学における私の体験からも、新たな問題を提案し、検討をお願いしても、反応が鈍く対応が遅い。年功序列の人事制度も組織の活力を奪うことは自明の理だ。

 学部の独自性も尊重しなければならないが、全学的な視野に立った改革の合意と協力が無ければ他大学の改革のスピードに遅れを取ることになる。

 これまで明治大学は資金を集める力が他大学に比較して弱いといわれるが、なぜ弱いかを考えれば、この面からも答えが出てくる。

 ノーベル化学賞受賞者の野依良治理化学研究所理事長は「化学分野では学術研究と言えど、産業技術と密接に関係する。学術は科学の深化、進歩に本格的に貢献すべきだ。技術は、研究であれ生産であれ、役に立たねば意味がない」と言われるように、社会に役立ち、企業が欲する研究、技術がどんどん出てくれば自然と資金は集まってくる。

 また、校友の募金についても大学に世話になったお陰で、今日の自分があると多くの校友が思えるような受け入れ体制を整え、学生(お客様)の立場の視点で大学の運営をし、社会に送り出せば、母校愛の強い校友によって募金も容易になる。

 最近、ある元教授の傘寿を祝う会に招かれた。北は北海道、南は沖縄から60余名のゼミの卒業生が参加し、口々に教授との出会いの感謝の言葉があったが、人の縁を大切にする、人間力を高める、そんな教育のできる大学であってほしいと願うものである。

 2年後には、創立130周年記念を迎える。改革のスピードを上げ、所期の目標に向って前進しようではないか。



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