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明治大学広報
第603号(2009年1月1日発行)
本棚
「危険な世界史」
中野 京子 著
(角川書店、1500円)
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 『怖い絵』『怖い絵2』に引き続き、中野京子氏のファンなら引きつけられること間違いなしの作品!

 本著は朝日新聞のブログ「ベルばらKidsぷらざ」の「世界史レッスン」をまとめたものである。元がブログの記事なので言葉も平易であり、2ページ程度で一つのエピソードが語られるので読みやすい。それでも、著者独特の面白さはしっかり伝わり、18、19世紀の激動のヨーロッパで生きた人物たちは21世紀に生きる我々の心によみがえり、その活躍の裏に隠された生き方を訴えかけてくる。

 表題が『危険な世界史』なので、本著にはジョージ一世に代表される宮廷の恐ろしい話も含まれるが、必ずしも残虐な話ばかりではなく、素晴らしい話も所収されている。第二章では、芸術家たちに働いた偶然の力の大きさを知ることができ、第三章の宮廷の外で生きる人々の話は悲しくもあるが、面白く読める。

 我々に歴史の醍醐味を伝え、血なまぐさいと思われる時代の虜にしてしまうという点で、本著はいい意味で「危険」な名著である。ゆえに続編を期待してやまない。

大須賀寿子・理工学部講師(著者は理工学部講師)



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